【ネタバレ注意】
本レビューは各エピソードごとの内容を詳しく解説しており、当該回のネタバレを含みます。なお、今後のエピソードに関するネタバレは含んでおりませんのでご安心ください。
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登場人物とキャスト
新たな登場人物
- ディアドレ・ノーラン(ジェシカ・クレメント):以前アレックスが関わった裁判の被告
前回からの登場人物
- アレックス・クロス(オルディス・ホッジ):主人公、ワシントンDC警察の刑事
- ジョン・サンプソン(イザイア・ムスタファ):アレックスの相棒
- レジーナ・”ナナ・ママ”・クロス(ファニタ・ジェニングス):アレックスの祖母
- エル・モンテイロ(サマンサ・ウォークス):アレックスの恋人
- ケイラ・クレイグ(アロナ・タル):FBI捜査官
- デイモン・クロス(ケイレブ・エライジャ):アレックスの息子
- ジャニー・クロス(メロディ・ハード):アレックスの娘
- アンダーソン警察署長(ジェニファー・ウィグモア):ワシントンDC警察署長
- シャノン・ウィトマー(エロイーズ・マンフォード):ラムジーに拘束されている女性
- オラシーン・マッシー(シャロン・テイラー):警部補
- アミエリン・ヴェガ(メルセデス・デ・ラ・ゼルダ):刑事
- ショーナ・デ・ラックナー(ステイシー・グリーンウェル):刑事
- アクバル(ドウェイン・マーフィー):刑事
- クリス・ウー(ジェイソン・ロゲル):分析官
- エド・ラムジー(ライアン・エッゴールド):連続殺人犯
- ボビー・トレイ(ジョニー・レイ・ギル):ラムジーに雇われている元警察官
- エミール・グッドスピード(ドノヴァン・ブラウン):事件の被害者
- タニア・ハイタワー(シボーン・マーフィー):記者
- ナンシー(カレン・ロビンソン):デイモンのピアノの先生
- スーザン・コワレスキー(シャノン・デヴィード):地区検事補
- ブレンダ・リーランド(キラン・フリーゼン):アレックスを狙っていた女性
- マリア・クロス(ショーンティー・シューラー・アーヴィング ): アレックスの亡き妻
ストーリー
マリアの墓近くの木に吊り下げられていた青いドレス。そのドレスを見たアレックスは、誰のものか心当たりがあった。
ディアドレ・ノーラン――彼女は出会った男性を拘束し、逃げようとした男性をバットで計17回殴打して殺害した罪に問われていた女性である。アレックスはこの事件において、ディアドレの精神鑑定を担当していた。裁判でアレックスは、ディアドレの矯正は望めず、社会復帰には反対だと証言した。その証言を引用した裁判長は、彼女に終身刑を言い渡した。そしてその裁判で彼女が着ていたのが、あの青いドレスだった。
服役したディアドレは刑務所内で虐待を受け、その後自殺した。
前回、アレックスの命を狙った女性ブレンダは元看守であり、ディアドレとも接点があった。ブレンダは受刑者への虐待が原因で1年前に解雇されていた。
ディアドレには親戚も身近な人間もいなかった。唯一の手掛かりは、アレックスが行った精神鑑定の映像だった。しかし、法律の改正によりその映像は入手不可能となっていた。なんとかその時の映像を手に入れるため、ジョンが動き始める。
アレックスの祖母レジーナは、マリアの死を乗り越えてアレックスと子供たちを前に進ませるために、マリアの生前行っていた第一金曜日のカラオケパーティを再開しようとアレックスに提案する。
プライス通りの家を失ったラムジーは、新たな拠点の整備を着々と進めていた。一方、署内ではアレックスがプライス通りの家の地下から見つかった本の内容を基に、事件の手口や犯人像の分析を進めていた。この事件の特徴は、犯人が死刑囚の外見と被害者を瓜二つに変え、死刑囚の最後の食事を与えた上で、死刑囚が処刑された方法と同じ方法で殺害していたことだった。
署の刑事たちは、犯人が殺人鬼の熱狂的なファンであることから「ファンボーイ」と名付け、事件の捜査本部を設立した。本に記録されていた最後の殺人鬼、アイリーン・ウォーノス。彼女と対となる被害者の写真が存在しなかったことから、アレックスは次の被害者が女性であると推測する。
デ・ラックナー刑事から、シャノンという女性が行方不明になっていると聞いたアレックスとジョンは、彼女の両親に話を聞きに向かった。シャノンの母親は、それまで毎日連絡を取り合っていた娘との連絡が突然途絶えたことに不安を募らせていた。次に2人はエミールの遺族を訪ねて、エミールが利用していたマッチングアプリの名前を教えてもらう。
ラムジーはシャノンの肌に発疹の治療のため薬を塗布する。一方で、シャノンはラムジーの内面を探るため、壁に飾られたアートについて問いかける。
その頃、署内ではアレックスが、被害者たちがアプリでマッチングした相手のプロフィールを基に犯人像を分析していた。そしてアレックスは、次の手として「えさをまく」と述べ、記者のハイタワーにシャノンの行方不明情報を提供。これにより、新聞の一面で大々的に報道させた。アレックスが帰宅すると、祖母のレジーナとデイモンのピアノ講師ナンシーがカラオケの計画を進めていた。ナンシーはアレックスにぜひ歌声を聞きたいと言うが、まだ乗り気ではないアレックスは参加を断る。しかし、レジーナはカラオケマシーンの準備だけは頼むとお願いする。
警察は「ファンボーイ」と名付けた犯人の追跡を進め、新たな手がかりを得るべく捜査の範囲を拡大していた。アレックスは犯人の特徴をさらに詳細に分析し、次の行動を予測しながら慎重に対策を練っていた。
その頃、ラムジーはゴム製のフェイスマスクを装着し正体を隠しつつ、謎のグループに向けて「もうすぐ本が完成する」と配信していた。
その後、アレックスはジョンからUSBメモリを渡される。その中には、アレックスがディアドレに対して行った精神鑑定の映像が保存されていた。鑑定の中で、アレックスは亡くなった母親について質問をし、ディアドレは「家族かどうかは愛の深さで決まる。血は関係ない、母親は家族じゃない。」と答えていた。この言葉を受け、アレックスはディアドレを愛していた何者かが復讐のためにマリアの命を奪ったのではないかと推測する。
署内では捜査が進み、「ファンボーイ」を見つけたという報告が入る。その中で、シャノンの肌の疾患を治療するための薬を調剤薬局で購入した人物として、ハリー・パワーズという名前が浮上する。その名前を聞いたアレックスは、古い映画に登場する殺人鬼の名前がハリー・パワーズだったことを思い出し、これが偽名であると推測する。他の刑事たちはその事実に憤るものの、アレックスは冷静に、この名前で処方箋を取得している場合、免許証や社会保障番号を割り出す手がかりになると考える。
本の解析が進む中で、アレックスは一人目の殺人鬼であるバウマイスターと「ファンボーイ」の間に何らかの繋がりがあると考える。さらに、バウマイスターがインディアナ州を拠点に活動していたことから、「ファンボーイ」はインディアナ州出身である可能性が高いと推測する。また、アレックスは「ファンボーイ」が連続殺人鬼たちの単なるファンではなく、彼らを崇拝していると分析した。
【解説】アレックスの分析
アレックスがこのように分析した理由は、犯人の行動や本の内容に現れた象徴性や執着心から導き出されたものだと考えられます。以下にその理由を整理してみます:
- 被害者を死刑囚に似せて殺害している点
犯人は単に殺人を行うだけでなく、被害者を過去の連続殺人犯に似せて殺害しています。この行動は、単なる模倣を超えた「崇拝」の表れといえます。犯人は死刑囚を理想化し、その存在を再現しようとしている可能性があります。 - 本の構成と内容
本には死刑囚と被害者の写真が対になって貼られ、さらに毛髪や血液といった個人的な要素が含まれています。これらは単なる記録ではなく、儀式的な意味合いを持つ可能性があります。犯人にとって、この本は「聖書(バイブル)」のような神聖な存在であり、自身の信念や崇拝の対象を象徴するものと考えられます。 - 犯人のメッセージ
「主よ、あなたの本は殺戮に満ちている」という文章は、犯人が自分の行動を正当化し、さらには使命感を持っていることを示唆しています。この「主」という言葉が、犯人にとっての「神々」としての連続殺人鬼を指している可能性があります。
これらの要素が組み合わさり、アレックスは犯人が連続殺人鬼を崇拝し、本を「聖書」として扱っていると結論づけたのだと考えられます。
ラムジーの新たな拠点では、セキュリティを強化するための整備が進められていた。その間、猿ぐつわをされ物入れの奥に監禁されていたシャノンは、ラムジーが一時的にその場を離れた隙を見計らい、音を立てて整備に訪れていた業者の男性に助けを求めた。男性はシャノンに気付き、彼女を救出しようとするが、ラムジーが背後から忍び寄り、持っていたトンカチで男性の後頭部を殴りつける。男性を殺害したラムジーは、目の前で起きた惨劇に怯えるシャノンに向かって「自分は怪物ではない。快楽は求めない。」と語りかけた。
エルの運転する車で、アレックスはアイマスクで目隠しをされ、行き先を知らないままドライブを楽しんでいた。車が目的地に到着し目隠しを外すと、そこはなんとアレックスの自宅だった。カラオケパーティの準備を整えた家族やジョン、ナンシーがアレックスとエルを温かく出迎え、パーティが始まる。それぞれが順番に歌を披露し、和やかで楽しい時間が流れる。そしていよいよ最後の曲をみんなで歌おうという場面に。レジーナの合図でデイモンがスイッチを押すが、音楽が流れない。しばらくすると、カラオケマシンから突然音声が流れ始めた。「911です、どうぞ」「妻が撃たれた…… 救急車をすぐにここへ!」それは、マリアが撃たれて命を落とした際のアレックスの通報音声だった。
エルは焦るようにカラオケマシンのケーブルを引き抜き、急いで音声を遮断した。一瞬の静寂が流れたとたん、部屋全体に衝撃と不安が走った。カラオケマシンはハッキングされた可能性が高く、その結果、誰の仕業なのかを特定する決定的な手がかりは掴めなかった。その直後ジョンに何かを知らせる連絡が入る。
ラムジーはシャノンの拘束を解き、共に食事を楽しむ。その部屋の片隅には男の死体が横たわっている。
「自由を味わってほしかった」と語るラムジーに、シャノンは「信じてくれたのね、刃向かう気はない」と応じる。しかし次の瞬間、シャノンは体に異変を感じ、「何をしたの」と問い詰める。ラムジーは冷然とワインに毒を入れたことを告げ、シャノンは意識を失う。
大きな廃墟のような建物の中で、ボビーは大声で歌いながら誰かを待っていた。その背後に現れたのは、アレックスの同僚で分析官のクリスだった。クリスは戸惑いを隠せない様子でリュックから一冊の本を取り出す。それは本来、警察で厳重に保管されているはずの「ファンボーイ」の本だった。クリスがその本をボビーに渡そうとした瞬間、銃を構えたアレックスとジョンが姿を現す。
ボビーは素早くクリスから本を奪い取り、逃げざまにクリスの腹部を撃つ。クリスはその場に倒れ込み、ジョンが急いで彼の元へ駆け寄る中、アレックスは逃げるボビーを追いかける。アレックスは橋の中腹でボビーを追い詰め、シャノンの居場所を問い詰める。しかし、ボビーが銃を構えようとした瞬間、アレックスがとっさに発砲。ボビーは本を抱えたまま橋から転落し、海に落ちてそのまま逃げられてしまう。
目を覚ましたシャノンは、再び台に拘束されていることに気づく。ラムジーはシャノンの外見をさらに殺人鬼アイリーンに近づけるため、冷然と麻酔を注射し、歯をそぎ落とし始める。
その後、橋から容疑者が転落したというニュースを目にしたラムジーは、すぐに電話を架けた。「言い訳は要らない。クロスを甘く見ていた。何とかしないと。」と冷たい口調で告げる。
一方その頃、アレックスはエルの元を訪れていた。アレックスはカラオケでの楽しい時間を過ごさせてくれたことに感謝を伝え、二人はお互いの絆を確かめ合うように体を重ねあう。
翌朝、エルの家を後にしたアレックスの前にケイラが現れる。ケイラは、プライス通りの家を所有する会社がハリー・パワーズの名前を使用しており、さらにオークションで写真を競り落としていたことをアレックスに伝える。その映像にはエド・ラムジーの姿が映っていた。アレックスはラムジーが「ファンボーイ」であることを確信し、ラムジーのバースデーパーティに向かう決意を固める。
感想
カラオケ事件の犯人は誰だったのか、Wi-Fiでハッキングされたため、他の場所からでも犯行可能だと言われていましたが、やはりあの場にいたメンバーが犯人の可能性が高いですよね。ジョンか、エルか、はたまたナンシーなのか。
それと合わせて、今回のエピソードではエルがちょっと怪しく感じました。もともとラムジーの知り合いというだけでも疑念を抱かせますし、ラムジーが誰かに電話をしていた後にシーンが切り替わり、エルが映るくだりもあって、もしかするとエルが電話の相手だったのではないかと勘ぐってしまいました。そして残念ながら、クリスが裏切ってしまったわけですが、第1話で描かれていたボビーとクリスの関係がここに繋がるとは驚きました。ただ、クリスは何かに脅されていたのでしょうね。プライス通りの家の地下に繋がるヒントをアレックスに教えていたのがクリスだったので、ずっと繋がっていたとは考えにくいですよね。
ボビーが橋から転落した後、アレックスが示唆していた内通者の存在も気になるポイントです。
また、今回のエピソードではアレックスの分析力が特に際立っていました。彼は、単なる表層的な証拠や事実の把握だけでなく、本に記されたメッセージ、血液や毛髪などの痕跡、犯人の手口にまで目を向け、それぞれの情報に潜む意味や背後にある思想を見事に読み解いていました。こうした深堀りが、犯人の目的や人物像を鮮明に浮かび上がらせる鍵となり、それを理解しながら視聴することができました。アレックスの分析は物語全体の緊張感や謎を一層際立たせる役割を果たしていると思います。彼の的確な分析が進むごとに物語はより複雑な陰謀や人物の心理描写へと突入し、その過程で私はキャラクターの深層にますます引き込まれています。こうした描写は、ただ犯罪事件を解決するだけでなく、登場人物一人ひとりの存在感や人間味を際立たせ、ドラマとしての完成度を高めていると感じました。
物語も後半に入り、次回はアレックスとラムジーの心理戦が展開されそうで期待が膨らみます。
それでは次回のレビューでお会いできることを楽しみにしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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