『トキシック・タウン』イントロダクション
今回はNetflixリミテッドシリーズ「トキシック・タウン」を紹介します!
実話に基づく社会問題を鋭く描き、感動のストーリーを届けてくれるドラマ。
それがNetflixオリジナルの『トキシック・タウン』です
「おもしろいドラマないかな~ 次なんのドラマ見ようかな~」
って思ってNetflixの画面をスクロールしているだけのそこのアナタ!
ぜひこのレビューを読んで次に観る作品の参考にしてみてください。
『トキシック・タウン』ドラマ概要
- 原題: Toxic Town
- 監督、脚本: 監督:ミンキー・スピロ (Minkie Spiro) 脚本:ジャック・ソーン (Jack Thorne)
- ジャンル: 社会派ドラマ
- 公開年: 2025年
- 全エピソード数: 4話
- 配信プラットフォーム: Netflix
『トキシック・タウン』ストーリー
イギリス、イーストミッドランズ地方の町・コービー
1980年にこの町の製鉄所が閉鎖。以降は町の再開発計画が進められていた。
1995年、この町に住む2人の女性、スーザンとトレイシーは同時期に妊娠が発覚。
その翌年、2人は同じ日に同じ病院で出産。生まれてきたこどもたちには、どちらも障がいがあることが発覚する。
スーザンの息子コナーには手指の形成に、トレイシーの娘シェルビー・アンには耳と心肺機能の形成にそれぞれ障がいをもっていた。
無念にもトレイシーの娘シェルビー・アンは生後わずか数日で亡くなってしまう。
「自分に原因があるのでは」自責の念に苛(さいな)まれる母親たち。
ところが、ある日スーザンは町ですれ違った友人のパティのこどもにもコナーと同じ障がいがあることを知る。
『トキシック・タウン』解説
このドラマは実話に基づいて制作されており、1980年代に実際に起きた有毒廃棄物事件を題材としています。
この事件が起きた歴史的背景を紐解くことで、ストーリーの理解も深まるでしょう。
この事件がどのように人々の生活を変えたのか、皆さんも一緒に考えてみませんか?
コービー
イギリス、イースト・ミッドランズ地方に位置するノーサンプトンシャー州にある町。
(といわれてもピンとこなくて、調べたらロンドンの北にある町みたいです。)
19世紀に鉄鉱石の鉱床が発見されたのを機に町は急速に発展し、製鉄業が主要産業になりました。
特に1930年代から製鉄工場が建設され、スコットランドから移住してきた人も多くいたそうです。
製鉄所の閉鎖
コービーの製鉄所が閉鎖された理由は、以下の原因によるものだと言われています。
経済的要因
当時、ヨーロッパ全体で鉄鋼業界が過剰生産に直面し、競争が激化。
国内外での鋼材需要の減少の影響も受けて、コービーのような大規模な製鉄所は特に採算が取れなくなっていたようです。
環境的要因
製鉄所の作業にて発生した有害物質による土壌や空気の汚染が深刻化。
これにより地域住民の健康被害が懸念されるようになっていました。
製鉄所跡地の埋め立て
製鉄所の閉鎖後、広大な敷地が長らく未利用の状態となっていました。
再開発の一環として、この土地を商業施設や公共施設、住宅地として利用するため、土地の埋め立てと整備が進められました。
この土地の埋め立ての、浄化プロセスの正しい手順が踏まれていなかったことによって起きた土壌汚染が今作の題材である有毒廃棄物事件となっています。
『トキシック・タウン』キャラクター紹介
これより以下は物語の結末には触れていませんが、第2話以降の展開を含む内容となっています。
- スーザン・マッキンタイア(ジョディ・ウィテカー)
主人公。第一話開始時点では夫ピーターと息子ダニエルと暮らしている。
ピーターが出て行ってからはシングルマザーとして2人の息子を育てる。
性格はユーモアがあり陽気な反面、率直に感じたことを言うため、それが原因で人とぶつかってしまうこともしばしば。
息子コナーが誕生して彼の病気と向き合う中で、母親としてたくましく成長していく過程が物語を通して描かれていきます。
演じるのは「ドクターフー」で13代目ドクターを演じたジョディ・ウィテカー。
後述しますが今作は彼女の演技に胸打たれるシーンがたくさんありました。 - ピーター(マイケル・ソーカ)
スーザンの夫。2人目のこどもの誕生を待ち望んでいたが、コナーの障がいが発覚すると家族を捨て家を出ていってしまう。
最初はスーザンの尻に敷かれている良きパパかと思いましたが違いましたね。
第3話で戻ってきて改心したのかと思いきや裁判で勝利したときに貰える賠償金が目当てのやっぱりクズ男でした。 - トレイシー・テイラー(エイミー・ルー・ウッド)
製鉄所跡地の近くで会計として働いている。ピーターの同僚。
夫のマークと2人で暮らしている。
性格はかなりの心配性。娘シェルビー・アンの誕生と死、そしてその後授かる双子の成長と、裁判を経てスーザン同様彼女も力強く成長していく様子が描かれていきます。
演じるエイミー・ルー・ウッドはドラマ「セックスエデュケーション」「ホワイト・ロータス」にも出演し、多彩な役柄をこなす実力派女優として注目されています。 - マーク(マシュー・ダーカン)
トレイシーの夫。献身的に妻を支えている。 - マギー・マホン(クラウディア・ジェシー)
スーザンと同じく、こどもの手指に障がいをもつ母親。 - デレク・マホン(ジョー・デンプシー)
マギーの夫。製鉄所跡地の埋め立てを請け負うローズ&ミラー社で働いている。
演じるジョー・デンプシーはドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のジェンドリー役で知られています。 - デス・コリンズ(ローリー・キニア)
スーザンたちを支える弁護士。有害物質が母親たちの体内に入った経路を調べるために奮闘する。 - ダニ・ホリデイ(ローレン・ライル)
デスの相棒。
どこかでみたことある女優さんだなと思っていたらドラマ「アウトランダー」のマーサリ役の方でした。綺麗になりましたね! - サム・ヘイゲン(ロバート・カーライル)
コービーの区議会議員。副議長であるロイのことを尊敬し慕っていたが、汚職問題の真相を明らかにするため彼と対立するようになっていく。 - テッド・ジェンキンス(ステファン・マクミリアン)
土壌整備の技術コンサルタント。
気は弱いが正義感が強い。報告してももみ消される土壌汚染の問題を告発しようと行動する。 - ロイ・トーマス(ブレンダン・コイル)
コービー区議会の副議長。土壌汚染問題を主張する住民たちとの対立が描かれていく。
『トキシック・タウン』見どころ・感想
母親同士の友情・家族の絆
母親たちが互いに団結し、力を合わせながら励まし合って困難に立ち向かうシーンや、家族との絆が丁寧に描かれる瞬間は、心に深い印象を残しました。
特に印象に残ったシーンは二つあります。
第3話の病院シーン コナーの容態が急変したとき、スーザンは必死に「大丈夫、ママがついてる」と呼びかけます。その直後、医師の説明に動揺する彼女のもとへトレイシーが駆け寄り、力強く抱きしめるシーンは、母親としての決意と仲間同士の固い絆を感じさせ、胸に迫る感動がありました。
最終話の裁判当日のシーン 裁判の日、デスから原告側でトレイシーが除外されたことが伝えられた後、スーザンは「トレイシーがいたから、ここまで来られた」と切実に訴えかけます。この一言に、母親たちが互いに支え合い、どんな困難にあっても団結して戦う姿勢と、深い信頼が凝縮されており、非常に印象的でした。
どちらの場面も、キャストの見事な演技によって、ドラマが伝える人間味と絆の強さが鮮烈に感じられ、心に長く残る瞬間となりました。
ピーターはクズ男だったけど、今作にとって大きな意義があると思っています。
父親が障がいのある子どもの誕生をきっかけに家族を捨ててしまうという設定は、複雑な人間の心理や葛藤を描くものだと思います。ピーターの行動は、「期待」と「現実」のギャップを受け入れきれず、プレッシャーや恐怖に打ち勝てなかった弱さの象徴として描かれているのでしょう。家族を捨てるという決断は、周囲に深い傷を残すだけでなく、自身にとっても逃げ場のない後悔や孤独を生む可能性があります。ピーターの存在が視聴者に対して、「障がいのある家族と共に生きるとは何か」「人間の弱さにどう向き合うべきか」という深いテーマを考えさせる意図があるのかもしれません。
法と正義
母親側 vs. 区議会側
いよいよ終盤、法廷での熾烈な闘いが幕を開けます。
果たして法は、どちらの側に味方するのでしょうか?
裁判での読み合いや鋭い駆け引きは、この作品の見どころのひとつです。
さらに、スーザン、トレイシー、マギーひとりひとりが証言するシーンは、心に深く響く感動があり、思わず涙してしまいました。
そして最後、弁護士のデスが副議長のロイに向かって、
> 「私は私の使命を果たした。これは重要な問題であり、人々を守るという責任を痛感したからだ。あなたは、自らの責任をどう考える?」
と力強く問いかけ、去っていくシーンはとても印象的でカッコよかったです。
そして裁判での大きな焦点である有害物質が母親たちの体内に入った経路についても、デスたちの決死の調査によって明らかになっていったわけですが、実はその伏線が第一話から見事に張られていた点は、見せ方の巧妙さを感じさせました。
時代の移り変わり
本作は、各エピソードごとに異なる時代設定が巧みに取り入れられています。
- 第1話:1995年
- 第2話:1999年
- 第3話:2002年
- 第4話:2009年
そのため、登場人物の髪型やファッション、さらには携帯電話やパソコンといった使用される機器も、各時代に応じたスタイルが反映されています。たとえば、第2話ではガラケーが主流であったのに対し、第4話ではすでにスマートフォンの存在を感じさせる描写があり、時代の移り変わりを実感させられました。
こうしたディテールに注目しながら作品を鑑賞することで、各エピソードの背景にある時代性や文化の変遷がより一層味わい深く感じられると思います。また、人々の行動や価値観にもその時代の影響が色濃く表れており、たとえば説明会シーンで副議長がタバコを吸いながら母親たちに説明する場面では、当時の日本でも同様の光景があったのだろうと、自然と考えさせられました。
『トキシック・タウン』まとめ
この作品は、単なるエンターテインメントの枠を超え、家族の絆や社会正義、そして時代の移り変わりというテーマを深く掘り下げた力作です。各エピソードごとに巧妙に表現された時代背景は、細部のディテール—例えば当時のファッションや機器に至るまで—にまでこだわりが感じられ、観る者にその時代をリアルに感じさせます。
特に、母親たちが困難な現実に立ち向かい、互いに支え合う姿勢が心に響き、法廷での熾烈な駆け引きや、一言一言に込められたメッセージは、ただ物語を追うだけでは得られない深い感動を呼び起こします。各キャラクターの個性が光り、時に厳しく、時に温かく交錯するドラマは、私たちに普遍的な「責任」や「正義」とは何かを考えさせられる貴重な体験でした。
以上の理由から、私はこの作品を自信を持っておすすめします。観るたびに新たな発見があり、心を打つシーンの数々に、あなたもきっと引き込まれることでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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