才能の裏には代償がある。支払うものは何か。
天才少女の孤独と栄光を描く、魂を揺さぶるチェスドラマ
『クイーンズ・ギャンビット』基本情報とドラマ概要
原題:The Queen’s Gambit
ジャンル:ヒューマンドラマ
公開年:2020年
全エピソード数:全7話
配信プラットフォーム:Netflix(ネットフリックス)
『クイーンズ・ギャンビット』は、チェスの天才少女ベス・ハーモンの成長と挑戦を描いたドラマです。幼い頃に母親を亡くし、孤児院で孤独な日々を送っていたベスは、ひょんなことからチェスと出会います。その瞬間から彼女の人生は大きく動き始めます。男性が支配するチェスの世界で頂点を目指す彼女は、才能だけでなく、内なる孤独や依存症とも闘っていくことになります。
『クイーンズ・ギャンビット』あらすじ
ベス・ハーモンは9歳の時に交通事故で母親を亡くし、メスーエン養護施設という孤児院に引き取られます。そこで彼女は、緑色の精神安定剤とオレンジ色の栄養剤を飲まされる日々を送ります。孤児院での生活は厳しく、ベスは孤独感と不安に苛まれますが、同じ孤児院で生活するジョリーンから「緑の薬は夜まで取っておく」と教わります。
ある日、テストの問題を早く解き終えたベスは、地下室で黒板けしの掃除を命じられます。そこで彼女は、盤面の上で駒を動かしている男性、シャイベル氏に出会います。ベスはチェスに興味を抱き、その日はジョリーンの助言通り緑色の精神安定剤を夜に飲むことにします。すると、頭が冴えた感覚になり、窓から差し込む月明かりによって天井に浮かび上がる影が、地下室で見たチェス盤に見えるほどでした。
どうしても地下室にいたシャイベル氏がしていたものが気になって仕方がないベスは、音楽の授業を抜け出して地下室へ向かいます。そこでシャイベル氏から、その盤面を使ったゲームの名前がチェスであることを知ります。それからベスはたびたび地下室を訪れ、シャイベル氏からチェスのルールを教わっていきます。
しかし、緑色の精神安定剤が州法により子どもへの配布が禁止されてしまいます。この薬に依存するようになっていたベスは、なんとか薬を手に入れようと画策します。
『クイーンズ・ギャンビット』登場人物とキャスト
※画像はイメージです

ベス・ハーモン(アニャ・テイラー=ジョイ)
主人公の天才チェスプレイヤー

幼少期のベス・ハーモン(アイラ・ジョンストン)
幼くして母を亡くし、孤児院に引き取られる

シャイベル(ビル・キャンプ)
孤児院の用務員で、ベスにチェスを教える

ジョリーン(モーゼス・イングラム)
孤児院でのベスの親友

アルマ・ウェイトリー(マリエル・ヘラー)
ベスの養母

ハリー・ベルティック(ハリー・メリング)
ケンタッキー州チャンピオンのチェスプレイヤー

ベニー・ワッツ(トーマス・ブロディ=サングスター)
アメリカ国内でトップクラスのチェスプレイヤーで、ベスのライバル兼友人

タウンズ(ジェイコブ・フォーチューン=ロイド)
ベスが憧れるチェスプレイヤーであり記者
『クイーンズ・ギャンビット』見どころ
自己発見とアイデンティティの確立
ベス・ハーモンは幼少期の喪失と孤独から、自分自身を見出す旅を始めます。チェスというゲームは彼女にとって単なる娯楽以上のもので、自分の存在価値や才能を確認する手段となります。彼女が競技を通じて成長し、自分の居場所を見つける過程は、自己発見とアイデンティティの確立という普遍的なテーマを描き出しています。
孤独と人間関係の複雑性
天才的な才能を持つがゆえに、ベスは周囲との疎外感や孤立感を抱えています。彼女の内面的な孤独は、他者との関係性に影響を与えます。一方で、彼女を支える人々との出会いや絆は、孤独からの解放や人間関係の大切さを強調しています。友情や師弟関係、恋愛など多面的な人間関係が物語を豊かに彩ります。
依存症と内なる闘い
ベスは薬物とアルコールに依存する傾向があり、それが彼女の人生とキャリアに暗い影を落とします。依存症との闘いは、成功と自己破壊の間で揺れ動く彼女の内面を象徴しています。このテーマは、人がいかにして自分の悪魔と向き合い、乗り越えるかという普遍的な問いかけを投げかけています。
女性のエンパワーメントとジェンダーの壁
1960年代という男性優位の時代・社会において、若い女性であるベスがチェス界で頂点を目指す姿は、ジェンダーの固定観念に挑戦するものです。彼女の活躍は、女性が社会的な制約を乗り越え、自分の道を切り開く力を持つことを強く示唆しています。このテーマは、現在における女性の地位向上や平等の追求とも共鳴します。
才能と狂気の紙一重
ベスの天才的な才能は、時に彼女の心の不安定さと表裏一体となっています。卓越した才能を持つ者が抱えるプレッシャーや孤独、そしてそれがもたらす心理的な影響が深く描かれています。これは、天才性と精神的な健康、自己破壊的な傾向との微妙なバランスを考察するテーマとなっています。
過去との和解と癒し
ベスは過去のトラウマや未解決の感情と向き合わなければなりません。物語を通じて、彼女が自分自身と過去を受け入れ、和解するプロセスが描かれています。このテーマは、癒しと再生、そして自己受容の重要性を強調しています。
このように、『クイーンズ・ギャンビット』は個人の成長や内面的な葛藤、社会的な問題を巧みに織り交ぜた作品です。チェスという高度な戦略ゲームを背景に、ベスの人生はまるで盤上の駆け引きのように展開します。
もしこの作品に興味を持たれたなら、チェス自体の戦略や歴史にも目を向けてみてはいかがでしょうか。また、同時代を舞台にした他の作品や、実際の女性チェスプレイヤーの物語を調べてみると、さらに深い理解と新たな発見が得られるかもしれませんね!
『クイーンズ・ギャンビット』感想
ベスがチェス界で無双し、次々と相手を凌駕していく様子は見ていて爽快でしたね。その圧倒的な強さと冷静さには、思わず手に汗を握りました。同時に、彼女が内面に抱える深い葛藤や孤独と向き合っている姿が丁寧に描かれていて、ただのサクセスストーリーではない深みを感じました。
アニャ・テイラー=ジョイの演技は圧巻で、彼女の眼差しや仕草からベスの複雑な感情が伝わってきます。特に、勝利の喜びと同時に感じる空虚さや、不安定な心情を見事に表現していましたね。そして、幼少期のベスを演じたアイラ・ジョンストンも素晴らしかったです。あの幼いながらもどこか影のある表情や、純粋さと闇を併せ持つ演技は、物語の始まりとして強い印象を残しました。
ベスがチェスの世界で頂点を目指す一方で、人と人とのつながりが彼女の物語をより深く彩っています。環境が変わり、会えなくなっても自分を思い続けてくれる人々の存在に気づく瞬間は、本当に胸に迫るものがありますよね。孤児院を訪れた際に車の中で涙を流すシーンは、彼女が過去と向き合い、孤独だと思っていた自分が実は多くの絆に支えられていたことに気づく象徴的な場面でした。
私はチェスのことはルールもまったくわからないのですが、このドラマを見て興味をもったのでスマホゲームでもやって勉強しようかなと思います。
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