Amazonオリジナル『アレックス・クロス~狙われた刑事~』1話ずつレビュー|シーズン1第8話「俺がついてるだろうが」

【ネタバレ注意】
本レビューは各エピソードごとの内容を詳しく解説しており、当該回のネタバレを含みます。なお、今後のエピソードに関するネタバレは含んでおりませんのでご安心ください。

前回のエピソードはこちら

目次

登場人物とキャスト

新たな登場人物

  • キャット・マイヤーズ(クリスティーナ・レン):ピーター・レノックスのケースマネージャー
  • フィニアス・カーター(ダーネル・バーソロミュー):動画でアレックスに殴られ銃を突きつけられていた男性

前回からの登場人物

  • アレックス・クロス(オルディス・ホッジ):主人公、ワシントンDC警察の刑事
  • ジョン・サンプソン(イザイア・ムスタファ):アレックスの相棒
  • レジーナ・”ナナ・ママ”・クロス(ファニタ・ジェニングス):アレックスの祖母
  • ケイラ・クレイグ(アロナ・タル):FBI捜査官
  • エル・モンテイロ(サマンサ・ウォークス):アレックスの恋人
  • デイモン・クロス(ケイレブ・エライジャ):アレックスの息子
  • ジャニー・クロス(メロディ・ハード):アレックスの娘
  • アンダーソン警察署長(ジェニファー・ウィグモア):ワシントンDC警察署長
  • シャノン・ウィトマー(エロイーズ・マンフォード):エド・ラムジーに拘束されていた女性
  • アミエリン・ヴェガ(メルセデス・デ・ラ・ゼルダ):刑事
  • ショーナ・デ・ラックナー(ステイシー・グリーンウェル):刑事
  • エド・ラムジー(ライアン・エッゴールド):連続殺人犯
  • ボビー・トレイ(ジョニー・レイ・ギル):エド・ラムジーに雇われていた元警察官
  • タニア・ハイタワー(シボーン・マーフィー):記者
  • ナンシー(カレン・ロビンソン):デイモンのピアノの先生
  • ディアドレ・ノーラン(ジェシカ・クレメント):以前アレックスが関わった事件の犯人
  • ピーター・レノックス(ライアン・アレン):ディアドレの共犯者とされる人物
  • マリア・クロス(ショーンティー・シューラー・アーヴィング ): アレックスの亡き妻

ストーリー

ピーター・レノックスに襲われたレジーナは病院へ搬送され、アレックスの見守る中、救急救命室へと運ばれていく。その直後デイモン、ジャニー、エル、そしてナンシーが病院に駆けつける。
ラムジーの誕生日パーティ以来、久々に顔を合わせたアレックスとエルは再会を果たし、エルはそっとアレックスを抱きしめる。家はピーターの執拗な狙いのため安全ではないと考えるアレックスに対し、エルは自宅に皆で避難するよう呼びかけるが、アレックスはエルの家も同様に危険が及ぶのではと懸念を示す。
その会話を耳にしていたナンシーは、街から離れたグースクリークという所にある別荘を、安全な避難場所としてアレックスに提案する。最終的に、アレックスは単独で街に残り、ピーターを捕まえるまで子供たちとエルをナンシーの別荘へ向かわせることに。準備を進める皆にピーターの写真を見せ、この男を見かけたら直ちに退避するよう厳重に警告する。

その後、アレックスはピーターを担当していたケースマネージャーのキャットを訪ねる。キャットは、ここ9年間ピーターと一度も連絡が取れていなかったと告げる。さらに、アレックスはキャットから、ピーターには家族や親せきがおらず、記録にはないものの、実は母親代わりの女性が存在していたという事実を知らされる。

別荘に到着したエルたち。ここは安全だからぐっすり眠れると話すナンシーに、エルは田舎の静けさが不安になって眠れないと返す。するとナンシーは、洗面所にある睡眠薬でぐっすり眠れるとエルに教える。

ベンのチリボウルで、アレックスはナンシーの別荘に電話をかけ、皆の様子を確認する。「とても素敵な場所よ。それにナンシーおばちゃんもすごく優しい」とジャニーが嬉しそうに話す。アレックスが「もう“おばちゃん”か」と笑うと、ジャニーは「血は関係ない。家族かどうかは愛の深さで決まるってナンシーに教わったの」と答える。その言葉に何かを悟った様子のアレックスは、電話を切ると店を出る準備をする。その時、記者のハイタワーが店を訪ねてくる。手にはラムジーから送られてきたという本を抱えていた。ハイタワーは、「この本をどうするべきかわからない」と戸惑いを見せる。それに対してアレックスは、「その本を公表してラムジーをスターにするな」と言い残し、店を後にする。

帰宅したアレックスは、自身が行ったディアドレの精神鑑定の映像を見返していた。その映像の中で、ディアドレが「血は関係ない。家族かどうかは愛の深さで決まる」と語る姿が映し出される。それはジャニーが電話で話していた言葉とまったく同じだった。アレックスは何かを確信したように、ピーターのケースマネージャーであるキャットに電話をかけ、一枚の写真を見せる。その写真に写る女性を目にしたキャットは、「この女性がピーターの母親代わりだった人に間違いない」と告げる。そして、その写真に写っていたのは、ナンシーだった。

一方その頃、別荘ではジャニーとかくれんぼをして遊んでいたデイモンが、隠れる場所を探して地下室へと降りる。そこで彼は、一枚の写真を発見する。写真にはナンシーとピーター、そしてディアドレが一緒に写っていた。そして突然、ナンシーが地下室に降りてくる。慌てたデイモンは、その写真を咄嗟にジーンズの尻ポケットへと隠す。ナンシーは「もうすぐ夕食よ。上に上がって手を洗ってきて」とデイモンに声をかける。

アレックスはナンシーの正体をエルに知らせるため、急いで別荘に電話をかける。電話に出たナンシーに「エルに代わってほしい」と伝えるが、ナンシーはその意図を察したように声のトーンを変え、「私の正体に気付いた?どんな事態か分かった?」と不気味な口調でアレックスを脅迫し始める。その頃、デイモンは地下で見つけた写真を隠し持ち、テーブルの下からそっとエルに手渡す。エルはナンシーの正体に気付き、デイモンに普段通りに振る舞うよう指示するとともに、隙を見てナンシーの鍵を盗むよう頼む。

「子どもたちに手を出さないでくれ」と頼むアレックス。ナンシーは、武器を持たず、誰にも知らせず、一人で別荘に来るように要求し、条件を破れば子供たちに二度と会えなくなると脅迫する。電話を切ったアレックスはすぐにジョンの家を訪ね、これまでの事をジョンに謝罪する。そしてジョンと二人でナンシーの別荘へと向かう。

エルはナンシーと世間話を交わしながら自然に振る舞い、隙を見て彼女の飲み物に睡眠薬を仕込む。しばらくして、ナンシーがソファで眠りについたことを確認したエルは、デイモンを呼び、ジャニーを起こして三人で逃げ出そうとする。しかし、ナンシーの姿はソファから消えていた。次の瞬間、スタンガンを手にしたナンシーが現れ、エルたちの前に立ちはだかる。エルはバッグを使ってナンシーのスタンガンをかわし、彼女を押さえつける。その間にデイモンとジャニーを逃がそうとするが、エル自身もなんとかナンシーを振り払い、二人の後を追う。3人は車に乗り込み、エルがエンジンをかけたその瞬間、運転席の窓ガラスがバットで粉々に割れる。バットを振り下ろしたのはピーターだった。彼はエルを車から引きずり下ろし、地面に叩きつけた。

ナンシーの別荘が近づくと、アレックスは車を止めてジョンを降ろす。ジョンは「別荘に着いたら10分間時間を稼ぎ、伏せて身を守れ」と指示を出す。アレックスはその言葉を胸に、ナンシーの指示通り一人で別荘へ向かう。別荘に到着すると、ナンシーが入口で待ち構えていた。彼女はアレックスが丸腰であることを確認すると、彼を中へ招き入れる。室内には、拘束されたエル、デイモン、ジャニーの姿があった。ナンシーはアレックスに拘束具を手渡し、自らを縛るよう命じる。そして、アレックスを窓際の椅子に座らせた。

ジョンは別荘へ向かう途中、森の中で待ち伏せしていたピーターに狙撃される。銃弾を受けたジョンはその場に倒れ込み、血を流しながら動けなくなってしまう。

別荘でナンシーは自らの動機を語り始める。彼女は、アレックスがディアドレの裁判で「矯正は望めない」と発言したことを非難する。アレックスはその言葉を後悔していると告げるが、ナンシーの怒りは収まらない。その場にピーターが現れ、アレックスにジョンが死んだと伝える。その知らせを聞いたナンシーは冷酷に言い放つ。「妻を亡くし、親友も失い、祖母も瀕死の重体。それでもまだ足りない。あんたは子供を失う痛みを知らない」と。そして彼女は、デイモンとジャニーの身体に灯油をかけ、「死ぬのはどちらか一人でいい」とアレックスに選択を迫る。

「選べるわけないだろ、復讐なら俺を殺せ」とアレックスが叫ぶように言うと、ナンシーは憎しみに満ちた声で返す。「私は地獄のような日々を毎日味わってるの。あんたにも同じ思いをさせるわ」と。そして「選んだ方をピーターに撃たせる。でも選ばなければ、二人とも苦しみながら死んでいくのを見守ってもらう」と彼女はライターを手にしながら続けた。ピーターは「子供に罪はない」とナンシーに訴えるが、ナンシーはアレックスを見つめたまま、「彼に選ばせるの」と言い放つ。

アレックスはナンシーの言葉を受けて、彼女の思考パターンを素早く分析する。ナンシーにとって最も重要なのは、相手に「選択させる」という行為そのものであると判断したアレックスは、過去にナンシーがディアドレに対し、ピーターの罪を被る形で自白するよう仕向けたのではないかと推測し、その考えをピーターに伝える。それを聞いたピーターは動揺しながらナンシーに問いただす。「それは本当なのか?」と。追い詰められたナンシーは「刑の重さを考えると仕方なかった」と弁解する。しかし、ピーターは「ディアドレはこんなこと望まない」とデイモンとジャニーを解放しようとする。

ナンシーは必死にピーターを説得し、彼の心は大きく揺れ動く。そしてピーターは、ナンシーの言葉に影響され、アレックスへの憎しみを再び抱き始める。その瞬間、窓ガラスが大きな音を立てて割れ、ジョンがピーターの背後から突撃する。その衝撃でナンシーも頭を打ち、床に崩れ落ちる。床には衝撃でこぼれた灯油が一面に広がっていく。

ジョンとピーターの激しい戦闘が始まる中、エルは落ちていたナイフを拾い、アレックスとお互いの拘束具を切る。エルはすぐに子どもたちを外へ脱出させるが、負傷していたジョンはピーターに倒されてしまう。ピーターがジョンに銃を向けたその瞬間、アレックスが間一髪で阻止する。ピーターの手元から離れた銃は、床に倒れていたナンシーの近くに転がる。意識を取り戻したナンシーは銃に気付き、手を伸ばそうとする。一方、アレックスは格闘の末ピーターを打ち倒し、ナンシーが銃を掴もうとした瞬間、それを取り上げる。

ナンシーはアレックスに銃を向けられながら、ゆっくりと立ち上がる。ジョンは起き上がり、倒れたピーターを拘束する。「その子は悪くない」とナンシーが言うが、ジョンは「償わせないと」と答え、ピーターを外に連れ出そうとする。

アレックスは銃を構えたまま「あんたにも」と言いナンシーに投降を求める。それに対し、ナンシーは「今は行けない、みんながいるから」と告げる。アレックスは「選択肢はない」と断言する。ナンシーは「今のはマリアが最後に言った言葉よ。聞いた限りではね」と返す。アレックスが「償うんだ」と迫ると、ナンシーは「地獄で償うわ」と言い放ち、ライターに火をつけて自分の足元に落とした。灯油がまかれた床から炎が燃え広がり、ナンシーを包み込んだ。

業火に焼かれるナンシーを背に、ジョンとアレックスはピーターを連れて建物の外へと脱出する。炎は瞬く間に燃え広がり、別荘を飲み込んで全焼した。その後、ピーターは警察に連行され、アレックスたち家族は自宅へと戻った。

後日、収容されているラムジーは余罪を自白するため警察署に輸送される。そしてその供述にアレックスを指名し、「ファンボーイ」の伝説を締めくくるためにすべてを告白すると宣言する。伝説の殺人鬼として歴史に名を刻むというラムジーの野望を見抜いたアレックスは、冷静に「ラムジーの容疑はエミール殺害とシャノンの拉致だけだ」と述べる。ラムジーが「本が証拠だ」と主張すると、アレックスは「あの本はボビー・トレイのものだ」と断言し、彼がファンボーイであると発表すると告げる。そして、アレックスはジョンと中継をつなぎ、ジョンはそのファンボーイの本を燃やし始める。ラムジーはその光景を目にして激しく暴れ出し、自分が殺したという被害者の名前を次々と口にしていく。

その後、アレックスは署長のアンダーソンと会う。アンダーソンは、例の動画に映る被害男性が訴えを取り下げたことで、アレックスの処分が見送りになったことを告げる。そして、記者ハイタワーの協力を得て、アレックスはその男性フィニアス・カーターと対話する機会を設けてもらう。対話の中で、アレックスはフィニアスを殴った理由を弁解するが、フィニアスは「自分の人種が原因だ」と主張する。そして彼はアレックスに対し、「行動で示し、先入観抜きで動いてほしい」と伝える。その言葉を受け、アレックスは真摯にこれを誓う。

ピアノコンテスト本番が始まり、アレックスや退院したレジーナを含む家族が観客席からデイモンを見守る。緊張で本来の実力を発揮できないまま演奏を続けるデイモンに、アレックスは静かにエールを送る。そのエールを受けたデイモンは、母マリアが愛した曲「ラブ・ミー・スティル」を弾き始める。会場全体がその音色に包まれる中、アレックスの目から静かに涙がこぼれ落ちる。

シャノンは依然として入院生活を送りながら治療を続けていた。彼女の容態は安定しつつあり、以前のような笑顔が徐々に戻り始めていた。

アレックスは、亡き妻マリアの死と真剣に向き合う決意を固める。彼女のお墓参りをすませ、カウンセリングを受け始める。

ケイラはボビーに対し、免責と24か月の服役を条件に、ラムジーの犠牲者に関する情報提供を求めた。さらに、要人に関する情報を提供することを条件に、出所後に金銭的な報酬を与えると提案する。

解説と考察

本稿に記載されている解説や考察は筆者自身の解釈を含んでいます。そのため、本ドラマの制作者の意図と異なる点がある場合があります。ご了承いただければ幸いです。

ナンシーとピーターの思考と動機

事の発端はピーターが男性を殺害したことにあります。ピーターには前科があり、逮捕されれば死刑の可能性もありました。そこでナンシーは、ディアドレがピーターの身代わりとして自白するように仕向けます。ディアドレには前科がなく、「若い白人の女の子がパニックに陥ってやってしまった」という設定にすれば酌量の余地があり、早ければ1年かからず自由の身になれるかもしれないと説明しました。(ただし、情状酌量が認められたとしても1年という刑期は極めて異例なため、これはナンシーがディアドレを自白させるためについた嘘だと考えられます。)

ディアドレは戸惑いながらも、ピーターのために自白する決心をします。しかし、自白したディアドレは裁判でアレックスから「矯正は望めない」と証言され、終身刑を言い渡されてしまいました。その後、ディアドレは刑務所での虐待に耐え切れず、自ら命を絶ってしまいます。ここで重要なのは、ナンシーがディアドレに自白を強要したのではないという点です。ナンシーはあくまで「提案」をしたまでで、自白するという“選択”をしたのはディアドレ本人だということです。

はたから見れば、自白をするよう仕向けた行動に変わりはないのですが、ナンシー自身にとっては「ディアドレが自分で決めた」という事実が重要なのです。この行動は、責任回避型の思考と捉えることができます。

責任回避型の思考
自分の行動が他者に与える影響を認識しながらも、直接的な責任を負いたくないため、相手に選択を委ねる形を取ります。「自分は提案しただけで、決断したのは相手」という論理で罪悪感を軽減しようとする傾向があります。

そのため、ナンシーは「決断したのはディアドレだから自分は悪くない。悪いのはディアドレを終身刑に追いやる証言をしたアレックスだ」と考え、アレックスにすべての罪をなすりつけることで、自分の罪悪感から逃れようとしていたと言えます。

一方で、ピーターは「自分が自白すればよかった」と自身の罪と向き合う一方、裁判でのアレックスの証言がディアドレを死に追いやったとして復讐を企てます。ただし、ナンシーがディアドレに自白するよう仕向けたという事実は知りませんでした。

ケイラとボビーと会話

エピローグでのケイラとボビーの会話の内容が抽象的で分かりづらかったので整理してみます。この会話はラムジーに関する2つの取引の内容となっています。

犠牲者の情報
タヴィオやヴァネッサたちを殺害しながらも野放しとなっているボビー。その件について「バレてたとしても証明ができない」と言うボビーに対し、ケイラは「クロスなら証明できるかも」と少し不安を煽りながら取引を持ち掛けます。その内容は、免責と24か月の服役を条件に、最低でも6人分のラムジーの犠牲者の身元特定に繋がる情報を提供するというものです。ボビーはこれに応じ、「免責の件を書面にして、クロスに取引成立だと伝えろ」と承諾します。このボビーの返答から、この取引はアレックスも承知している内容だと考えられます。

要人の情報
「それと出所後にお金があれば助かるわよね」と切り出し、ケイラはボビーにもう一つの取引を持ち掛けます。
ケイラ「ラムジーは人を脅してた」
ボビー「弱みを握ってな」
このやりとりの通り、ラムジーは人の弱みを握り、脅迫を行っていました。劇中でも、ケイトリンの夫ホレスの小児性愛のビデオを持っているとして彼女を脅迫し、従わせていた描写があります。
ボビー「ネタのありかを知ってりゃ俺が自分で使う」
ケイラ「要人相手に小銭を稼ぐよりも、一括で売ってしまう方が儲かる」
ボビーの発言は、「ラムジーがどこから人の情報を入手していたか知っていたら、自分で利用するから教えない」という意味に捉えられます。しかし、ケイラはボビーがその情報を知っていると見抜いたうえで、要人(政治家や著名人、大企業のトップなど)を相手に一人ひとり脅してお金を巻き上げるよりも、情報をまとめて提供してくれたら、それ以上の報酬を出すと提案しているのです。
ボビー「それはあんたと政府どっちの考えだ?」
ケイラ「それって重要?」
この2つ目の取引を持ち掛ける際、ケイラは周囲を慎重にうかがう様子を見せていました。この取引については、おそらくアレックスは知らず、むしろケイラ自身の個人的な企みが含まれている可能性があるとも考えられます。

感想

本当にナンシーが黒幕だと明かされた時の衝撃は凄まじかったですよね。「考えてみれば怪しかった」けど、それが逆に巧妙な伏線になっていたとも言えます。

第2話で「デイモンのピアノの先生」として登場した時点では、まさにただの脇役という印象しかありませんでした。しかも序盤の出番の少なさがポイントで、「この人が事件に関わってくるとは思えない」という印象を絶妙に作り上げていたのが巧みでした。しかし、進むにつれて少しずつ出番が増え、アレックスたちの家族に溶け込んでいく様子を見ていると、「あれ、気付いたら重要なポジションにいるぞ?」と気づく頃には、すでに彼女が物語の深い部分に絡んでいる、という流れが本当に良く練られています。

こうした緻密なキャラクターの動線や心理描写を通じて、観る側を見事に騙す脚本は感服ものです。「してやられた感」があるのも納得で、ナンシーの表情や言動を振り返ると、また違った見え方がしてきますよね。実に深く、計算され尽くした展開でした。ナンシーの一挙一動を思い返しながら再び観ると、さらに新しい発見がありそうです。

そしてジョンとの友情は本当に感動的でしたね。今回のエピソードの日本語タイトル「俺がついてるだろうが」は、アレックスがジョンに謝罪した際に、ジョンがその謝罪を受け入れた上で、アレックスに言い放ったセリフから来ています。(翻訳前のセリフで原題のYou had me a motherfu**erと言ってるんですが、このシーンではよく分かったとしか訳されてません)この言葉には、ジョンの揺るぎない友情と信頼が込められていて、心に深く響きます。友人の家族が危険にさらされている状況で、命を懸けて駆けつけたジョンの行動は、まさに男前の極みです。最初はジョンが黒幕だと疑ってましたけど。

また、エルの印象も大きく変わりましたね。初期のころはどこかキツいところがあって、正直あまり好きになれないキャラクターでした。しかし、この最終話では好感度が一気に上がりました。機転を利かせた行動、自ら体を張ってデイモンとジャニーをナンシーたちから守ろうとする奮闘ぶり、さらにはまだマリアのことを引きずっているアレックスを受け入れるその寛容な姿勢——どれを取っても魅力的に映りました。

デイモンとジャニーにとって、父親の恋人という立場はどうしても反発心が芽生えそうなものですが、2人がエルを慕っている理由がよくわかるような気がします。エルの行動や気遣いは、2人にとって信頼できる存在であり、家族に近い絆を感じさせたのでしょう。この最終話は、彼女を一気に印象的な存在に仕立て上げましたね。

ということで、ついにシーズン1が完結してしまいましたね。最後に、マリアを殺した犯人が別にいて、その謎がシーズン2に持ち越されるクリフハンガー的な展開になるかとも思って観ていたのですが、そうではなく、ちょっと謎を残しつつも、ひとまずラムジーの事件もマリアの事件も解決してくれたので良かったです。いやー、「アレックス・クロス」、本当に面白かったですね!シーズン2の制作も決定しているとのことで、次はどんな事件が起こるのか、アレックスがどんな分析を見せてくれるのか、今から期待が膨らみます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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