Amazonオリジナル『アレックス・クロス~狙われた刑事~』1話ずつレビュー|シーズン1第1話「ヒーローコンプレックス」

本レビューは、今後ひとつずつエピソードを追っていくシリーズレビューの第一回目です。
以下の方におすすめできる内容となっています。

  • 第1話からの物語をしっかり復習したい方
    続きを見る前に、登場人物や重要な出来事、基調となるテーマについて復習したい読者にとって、有用なまとめとなっています。
  • ドラマ全体の雰囲気を知りたい方
    アクション、ミステリー、そして心理学的な要素が凝縮された本作がどのようなドラマか、基本情報と登場人物の背景を把握したい方に適しています。
  • シリーズ全体に興味を持ち、今後の展開を予想したい方
    物語の伏線や主要なテーマに注目し、次回以降の展開を気になる方におすすめです。

【ネタバレ注意】
本レビューは各エピソードごとの内容を詳しく解説しており、当該回のネタバレを含みます。なお、今後のエピソードに関するネタバレは含んでおりませんのでご安心ください。

目次

主な登場人物とキャスト

  • アレックス・クロス(オルディス・ホッジ):主人公、ワシントンDC警察の刑事
  • ジョン・サンプソン(イザイア・ムスタファ):アレックスの相棒
  • レジーナ・”ナナ・ママ”・クロス(ファニタ・ジェニングス):アレックスの祖母
  • エル・モンテイロ(サマンサ・ウォークス):アレックスの恋人
  • ケイラ・クレイグ(アロナ・タル):FBI捜査官
  • デイモン・クロス(ケイレブ・エライジャ):アレックスの息子
  • ジャニー・クロス(メロディ・ハード):アレックスの娘
  • アンダーソン警察署長(ジェニファー・ウィグモア):ワシントンDC警察署長
  • シャノン・ウィトマー(エロイーズ・マンフォード):ラムジーに狙われる女性
  • オラシーン・マッシー(シャロン・テイラー):警部補
  • アミエリン・ヴェガ(メルセデス・デ・ラ・ゼルダ):刑事
  • ショーナ・デ・ラックナー(ステイシー・グリーンウェル):刑事
  • アクバル(ドウェイン・マーフィー):刑事
  • クリス・ウー(ジェイソン・ロゲル):分析官
  • エド・ラムジー(ライアン・エッゴールド):?
  • ボビー・トレイ(ジョニー・レイ・ギル):?
  • エミール・グッドスピード(ドノヴァン・ブラウン):事件の被害者
  • タヴィオ・レモンズ(ダマニ・D・シーズ):ギャングのボス
  • マリア・クロス(ショーンティー・シューラー・アーヴィング ): アレックスの亡き妻

ストーリー

最愛の妻の死

主人公アレックス・クロスは、妻マリアと親友で同僚のジョンたちとともに、スポーツ観戦を楽しみながら食事をしていた。
その途中、マリアが化粧直しのために席を離れる。しばらくして、彼女が向かった方向から突然銃声が響く。
アレックスが急いで駆けつけると、そこには撃たれて倒れている妻マリアの姿があった。彼女を抱きしめ、必死に声をかけるアレックス。しかし、マリアはそのまま息を引き取ってしまう。

心を読む刑事アレックス・クロス

妻マリアの死から1年が経過し、休職を真剣に考えていたアレックスは、ふと近くの取り調べ室から、容疑者から自白を引き出すことに苦戦している様子の声を耳にする。会話の内容を聞いた彼は他の刑事に「もう落ちている」と進言、取り調べを任される。
容疑者は、心理学の博士号を持つアレックスに対し、自分の方が賢いと挑発し、「遺伝子の問題だ」と発言する。アレックスは冷静に心理学的な洞察を活かし、「それはペニスと同じだ」と返し、「俺の方が大きい。遺伝子の問題だ」と容疑者の自尊心を揺さぶる。焦りを見せた容疑者が「お前に俺の心は読めない。自白は取れない」と言い放つが、アレックスは「もうすでに自白している」と告げ、取り調べを終える。

【なぜ自白を取れたのか】
容疑者と思われる男は、「人生という発作性の熱病にかかっている」と訴え、アレックスはそれが自白だと決定づけています。はたしてなぜこの発言が自白の決め手になったのでしょうか?
理由は「熱病」という言葉にあります。これはシェイクスピアの「マクベス」という話に出てくるもので、悪いことをしてとても罪悪感で苦しくなった人が、心の中で病気のような感覚になったことを指しています。
つまり、男が「僕はとても悪いことをしたから、こんなに苦しくて病気になってるんだ」と言って、アレックスが「悪いことをしたって認めたね?自白いただきっ!」と言ってるということになります。

エミール・グッドスピード事件

謎のファンから贈られた花を受け取るアレックス。
一方、街ではドレッドヘアーが特徴の黒人男性、エミール・グッドスピードの遺体が発見される。彼は生前、警察予算の削減を強く訴えており、その活動が原因で警官に殺害されたという陰謀説が囁かれている。
一方で、エミールにはギャングとの関係や薬物での逮捕歴があり、警察は体面を保つためにも、薬物の過剰摂取が死因であると結論づけようとしている。ワシントンDC警察の署長はアレックスにこの事件の担当を任命する。

アレックスはエミールの遺族から、彼が亡くなる直前に特徴的だったドレッドヘアーを剃られていたこと、そして生前にイスラム教へ改宗していたこと、糖尿病を患っていたことを知らされる。さらに、ギャングのボスであるタヴィオは「エミールにクスリを売る奴は俺が許さなかった」とし、薬物の摂取が原因ではないと主張する。

エミールの検視結果から、死の直前にポークチョップやポテトを食べていたことが判明し、自殺の可能性は低いとされた。イスラム教に改宗していたはずのエミールの胃の中に豚肉が含まれていたこと、彼が持病を抱えていたこと、これらの情報を基に、アレックスはエミールが他殺されたと結論づける。しかし、体面を気にする署長は「他殺だと言うなら、48時間以内に証拠を見つけてこい」とアレックスに厳命する。

マリアのスカーフ

家族全員が外出して留守となったアレックス宅に、何者かが侵入する。侵入者はクローゼットにひとつのスカーフをかけ、さらにマリアと子供たちが一緒に映っている写真を盗んでいった。

数日後、息子デイモンが通う学校からアレックスに呼び出しがあり、理由はデイモンが学校で禁止されているレッドスキンズのグッズであるそのスカーフを身に着けて登校していたためだった。アレックスはそのスカーフを目にして驚愕する。というのも、そのスカーフは、妻マリアが亡くなる直前まで身に着けていたもので、事件後は行方不明になっていたものだった。
「ママのクローゼットにかけてあった」とデイモンが説明すると、アレックスはすぐにそのスカーフをビニール袋に入れ、ジョンにそのスカーフに付着している可能性のあるDNAを調べるよう依頼する。

エド・ラムジー

アレックスは恋人のエルとともにパーティに参加し、そこでエルの財団支援者であるエド・ラムジーと出会う。ラムジーは、アレックスが過去に担当した事件をきっかけに彼のファンになったと言い、「街で顔が利くから、何かあったら連絡してくれ」と名刺を手渡した。

彼は、マッチングサイトで他人になりすまし、転職活動をしているシャノンという女性にアプローチを試みる。

ボビー

アレックスの同僚のクリスに、ある車の持ち主の調査を依頼する男性。彼はクリスからボビーと呼ばれていた。
クリスはボビーに、車の持ち主がギャングのボスであるタヴィオ・レモンズであることを伝える。

ヒーローコンプレックス

エルの家で開かれた食事会の席で、アレックスは他のゲストと口論になり、ついにはエルの家宝であるグラスを割ってしまう。エルはその出来事に衝撃を受け、アレックスが抱える心の苦悩の真相を知ろうとする。
はじめは口を閉ざしていたアレックスであったが、次第にその理由を語り始める。精神診断の結果、彼は「ヒーローコンプレックス」と呼ばれる、一種の強迫観念に苛まれていると告白する。これにより、彼が常に自らを救済者として振る舞おうとする背景や、内面の葛藤が明らかになるのであった。



【ヒーローコンプレックスとは】
ヒーローコンプレックスとは、自分の価値を証明するために、常に「助けなければならない」「救わなければならない」という強い衝動に駆られる心理状態です。
これは、内面的な不安や劣等感を補うために、自分自身を救世主やヒーローとして位置づけ、無理な自己犠牲や過剰な介入に走ることにつながります。その結果、自分自身の健康や人間関係を犠牲にし、最終的には周囲にも負担を与えてしまうことがあります。

【マリアの死がもたらす影響】
・深刻な罪悪感と自己否定
助けるべき役割を果たせなかったことで、自分は不完全で無力だと感じ、深い罪悪感や自己否定に陥り自分を責め続けるようになります。
・過剰な自己犠牲への傾倒
失敗を取り返そうと、さらに無理な自己犠牲や過剰な救済行動に走ることで、心と体に過度な負担がかかるようになります。

タヴィオ・レモンズ

エミールの通話履歴を入手したアレックス。彼の最後の通話の相手は使い捨ての携帯で持ち主不明であった。
アレックスは最後の通話相手が誰だったのか探り出すため、FBI捜査官のケイラに協力を依頼する。
調査の結果、その最後の通話相手は、ギャングのボスであるタヴィオ・レモンズであることが判明する。

アレックスはタヴィオから話を聞き出すために彼のもとを訪れるが、タヴィオは突然逃走を図り、逃げ込んだ先で人質を取るという事態に発展する。アレックスは冷静に説得を試み、ついにタヴィオは人質を解放する。
タヴィオは逮捕され連行されるが、その途中で何者かに頭部を狙撃され、命を落としてしまう。

事件の展開を受け、署長が考えたマスコミ向けの報告書の内容を聞かされるアレックス。
その内容は事実と異なり「タヴィオがエミールを殺し、その報復で撃たれた」とするものだった。

スカーフの髪の毛と謎の電話

帰宅したアレックスは、ジョンからマリアのスカーフに関するDNA鑑定結果の知らせを受ける。結果によれば、そのスカーフにはマリアの髪の毛とは異なり、わずかに白人の髪の毛が1本、故意に結び付けられた形で付着していた。
その知らせを受けた直後、玄関先に謎のファンから花束と一枚の写真が届く。写真には、マリアと子供たちが映っているが、マリアの目が白く塗りつぶされていた。驚愕する矢先、アレックスに電話がかかってくる。電話の向こうからは、こう問いかける声が響く。
「最後の言葉を知りたい?
彼女のことは全部知っているでしょ?でも、彼女の死に際の一言はまだ知らない。知りたい?すぐ会えるわ」

考察と感想

本考察は、筆者が第2話以降の展開をまだ把握していない状態で執筆しております。そのため、既にご視聴済みの方には、意見が作品の最新展開と一致しない部分があるかもしれません。あくまで現時点での推測・見解としてご理解いただき、ご了承の上お読みいただければ幸いです。

浮かび上がる謎

第1話から謎だらけの展開ですね!
明らかになっていないところや伏線と思わしき箇所について考察を交えてまとめてみます。

マリアの死の真相

マリアの死の真相は、シリーズ全体の主軸となる謎であり、今後の展開が非常に気になる部分ですね。
第1話の最後に電話をかけてきた人物が、マリアの死に深く関与している可能性が高いと考えられます。花束とともに写真が届けられたことから、電話をかけてきた人物がアレックス宅に忍び込んだ人物と考えてよいでしょう。シルエットや話し方から女性だと思いました。(わりかしケイラくらい細身だったような気がします)

この女性が、マリアの死に関して何らかの情報を握っているか、あるいは直接関与しているならば、今後のエピソードでその正体や動機が解き明かされそうです。

エミール殺害の真相

犯人がエミールの髪を剃り、別人のように見せた上で食事をさせて殺害した行動には、象徴的な意味が込められている可能性があります。犯人が持っていた本の切り抜きに「死刑囚と死刑執行前の最後の食事」に関する記述があったことから、エミールの殺害が単なる犯罪ではなく、儀式的な要素を含んでいることが示唆されます。
この行動は、犯人がエミールを「死刑囚」として扱い、彼に最後の食事を与えることで、何らかの裁きや制裁を象徴的に表現しようとした可能性があります。さらに、髪を剃ることでエミールのアイデンティティを剥奪し、彼を「個人」ではなく「象徴」として扱ったのかもしれません。
犯人の動機として考えられるのは、エミールの過去の行動や信念に対する強い反感、または彼を社会的な問題の象徴として見立てた上での制裁行為です。この行動が犯人の心理や背景にどのように結びついているのか、さらに深い謎が物語を通じて明らかになっていくでしょう。

ジョンとの確執

アレックスとジョンは幼馴染であり、同僚という長い付き合いがあるものの、互いに不満や溜まったわだかまりがあることが示唆されています。たとえば、ジョンの報告が原因でアレックスが半年間の停職処分を受けたというエピソードが、二人の間の亀裂の根拠として描かれています。また、マリアの死に関する議論の中で、ジョンは「迷宮入りと思った方がいい」という発言をしており、これに対して真相解明を求めるアレックスが激しく反発するシーンが描かれています。

これはもしかすると、アレックスが真実に深入りしすぎることで、彼自身の精神にさらなるダメージを与えるのを心配しているのかもしれません。つまり、ジョンはアレックスの親友であるという立場から、苦しい真実に直面しないように促しているのかも。
一方で、その発言には裏の意図が潜んでいる可能性もあって。ジョンが何かを隠すために、あるいは自らの行動が都合の悪い事実となって浮上するのを防ぐために、敢えて事件の解決を難しくする方向に持っていこうとしているのかもしれません。

二人の関係は今後さらに複雑になり、物語全体におけるアレックスの孤独や葛藤を象徴する役割を果たすかもしれません。また、ジョンが何らかの隠された事情や「裏」を持っていると明かされるなら、彼の存在が物語の秘密を紐解く大きな鍵となる可能性もありますね。

ジョンがトリシャという人物に気に入られて、ジョンは接近禁止命令を取ったって話が伏線なのかちょっと気になりました。

エドとボビー

視聴者だけわかるような描写で、タヴィオの狙撃犯はボビーであることが明かされ、その後ボビーはエミールとタヴィオの死についてラムジーと電話で話をしていました。ボビーがタヴィオを狙撃した理由は、口封じのためだと考えられますが、エミールとの最後の電話はどのような内容だったのか気になるところです。
ボビーもクリスの話では元同僚といってるし、元警察官だったのかな。とするとアレックスとの関係性も今後の展開にかかわってくるかもしれません。

感想

第1話は驚くほど引き込まれる展開で、ただのアクション映画とは一線を画す魅力がありました。冒頭でのアレックスの股間自慢(?)なシーンをはじめ、一見ゴリゴリのパワータイプの典型的な主人公像を彷彿とさせますが、その裏に隠された彼のもう一つの顔が徐々に浮かび上がっていくのが面白いです。アレックスは、肉体的な強さだけでなく、心理学に精通しているという点が大きな魅力ですよね。彼の行動や犯人の心理状態を、冷静な心理学的視点から読み解く姿勢は、ただの刑事ドラマでは物足りなさを感じるミステリー好きにも十分アピールできると思います。

また、作品全体には、表面上の暴力やアクションシーンの奥に、人間の脆さや心の闇、そして時には自己犠牲的なヒーロー像が描かれているのが印象的です。アレックスのキャラクターが、その強さと同時に抱える内面の葛藤や、最愛の妻マリアの死という深い悲劇に支えられている点に、物語に一層の重みが加えられているのではないでしょうか。
さらに、事件の裏に隠された複雑な陰謀や、人間関係のもつれも随所に散りばめられ、視聴者は単なるエンターテインメントとしてだけでなく、登場人物たちの動機や心理、さらには社会的なテーマにまで思いを馳せることができます。

アクションシーンの迫力だけでなく、心理的な読み解きや伏線の緻密さが相まって、リプレイしたくなるような深みのある作品だと感じました。
こうした要素が折り重なって、ただ派手なアクションだけではなく、人間ドラマとしての奥行きも感じさせるこのシリーズは、幅広いファン層に支持される理由がよく分かります。次回以降、アレックスがどのようにして自らの内面の葛藤や失った大切なものと向き合っていくのか、その展開にも大いに期待したいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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