HBO 『The Last of Us|ラストオブアス』シーズン1ネタバレあり感想レビュー


文明の崩壊後、荒廃した世界で人々は何を求め、何を失ったのか?
絶望の中で光を探す旅を描いたドラマ『ラスト・オブ・アス』は、これまでの終末的な物語の枠を超え、観る者に深い感動を与える作品です。その魅力を語る前に、まずこのドラマがどのような背景を持ち、どのような世界観を築いているのかを見ていきましょう。

目次

『ラストオブアス』とは?


『ラスト・オブ・アス』は、アメリカの放送局HBOによって制作されたポストアポカリプスドラマで、2023年に放送が開始されました。文明が崩壊した終末世界を舞台に、主人公ジョエルと免疫を持つ少女エリーが織りなす旅と絆を描いた物語です。作品は、壮絶なサバイバルだけでなく、登場人物たちの人間ドラマや倫理的な葛藤にも焦点を当て、多くの視聴者を魅了しています。

このドラマは、Naughty Dog(ノーティードッグ)による2013年の大ヒットゲーム『The Last of Us』を原作としています。ゲームは、美麗なグラフィックと緻密に作りこまれたストーリー、感情的なキャラクター描写が評価され、ゲーム業界の数々の賞を受賞しました。ドラマ版は、この名作ゲームの世界観を忠実に再現しつつ、新たな視点や深みを加えたことで、原作ファンとドラマファンの両方から高く評価されています。

『ラストオブアス』作品情報

  • 原題:The Last of Us
  • ジャンル:ヒューマンドラマ/サバイバル
  • 放送局:HBO
  • 配信プラットフォーム:U-NEXTで独占配信中/Amazonでレンタル・購入可能

『ラストオブアス』シーズン1エピソードリストとあらすじ

第一話「闇の中にいる時こそ…」

あらすじ:物語は、感染症によるパンデミックが発生する前の日常から始まります。主人公ジョエルは娘サラと平穏な生活を送っていましたが、突如として謎の感染症が広がり、世界は混乱と恐怖に包まれます。ジョエルは家族を守るために奔走しますが、逃亡の最中に悲劇的な出来事が起こり、彼の人生を大きく変えることになります。20年後、荒廃した世界でジョエルは密輸業者として生きており、ある日、免疫を持つ少女エリーを運ぶ任務を引き受けることになります。

第二話「感染」

あらすじ:ジョエル、テス、エリーの3人は、隔離区域を抜け出し、ファイアフライの拠点を目指して旅を始めます。途中、感染者が徘徊する危険な廃墟を通り抜けることを余儀なくされ、特に「クリッカー」と呼ばれる感染者との遭遇が緊張感を高めます。このエピソードでは、エリーが免疫を持つことの重要性が明らかになり、テスが自らの運命を受け入れることで、ジョエルとエリーの旅が新たな段階に進むきっかけが描かれます。

第三話「長い間」

あらすじ:ジョエルとエリーは旅を続ける中で、ジョエルの旧友ビルとそのパートナーであるフランクの物語が描かれます。ビルとフランクは、感染者の脅威に囲まれながらも、互いを支え合いながら生きてきました。彼らの関係は、愛と信頼の力を示し、ジョエルとエリーの旅に影響を与えます。

第四話「この手につかまって」

あらすじ: ジョエルとエリーはカンザスシティに到着しますが、そこは反乱軍が支配する危険な地域でした。二人は敵対する勢力に追われながらも、互いの信頼を深めていきます。エリーのユーモアがジョエルの心を少しずつ和らげる様子が描かれます。

第五話「耐えて生きぬけ」

あらすじ:カンザスシティで出会った兄弟ヘンリーとサムと共に脱出を試みます。彼らの絆と犠牲が描かれる中、感染者との壮絶な戦いが繰り広げられます。結末は悲劇的で、ジョエルとエリーに深い影響を与えます。

第六話「親族」

あらすじ:ジョエルは久しぶりに弟トミーと再会します。トミーが築いた平和なコミュニティを目の当たりにし、ジョエルはエリーを託すべきか葛藤します。エリーとの絆がさらに深まる重要なエピソードです。

第七話「残されたもの」

あらすじ:エリーの過去が描かれます。親友ライリーとの思い出が明かされ、エリーが免疫を持つことになった背景が語られます。友情と喪失の物語が、エリーの強さの源を示します。

第八話「困っている時は」

あらすじ:エリーは負傷したジョエルを守るため、食料を探しに出かけますが、危険なカルト集団に捕らわれます。エリーは自らの力で脱出し、ジョエルと再会します。このエピソードではエリーの成長と決意が描かれます。

第九話「光を探せ」

あらすじ:ジョエルとエリーはついにファイアフライの病院に到着します。しかし、エリーの命を犠牲にしてワクチンを作るという計画を知ったジョエルは、彼女を守るために過激な行動に出ます。物語は衝撃的な結末を迎えます。

『ラストオブアス』シーズン1見どころと感想

ドラマ『ラストオブアス』シーズン1のここが面白い!

世界観と設定

「ラストオブアス」の世界は、人類が崩壊に至った原因が詳細に描かれている点が特に魅力的です。この崩壊は、冬虫夏草菌が突如として人間に感染するようになったことで始まりました。その感染のメカニズムは菌類の特性と生態系の変化に根ざしており、科学的な説得力があります。さらに、地球環境が温暖化し、菌類が適応しやすい環境になったことで感染が広がったという説明は、現在の地球規模の環境問題ともリンクしており、リアリティーと緊張感を兼ね備えています。この背景設定が物語全体の土台を支え、独特の雰囲気を生み出しています。

このように現実の冬虫夏草菌を基にした設定が、フィクションでありながらも科学的根拠に基づいている点でとてもリアルなんです。菌類の進化や環境変化が、人類に感染するまでの過程を説得力を持って描写されていて、作中の世界に自然と引き込まれました。それこそ新型コロナウイルスのパンデミックを連想させるような、現実とリンクした恐怖や緊張感を感じさせます。

現実の生態系や地球環境の変化が、人類の未来に及ぼす影響をテーマにしている点が、非常にリアルで考えさせられる内容でした。この設定は、単なるフィクションではなく、現実の問題とも結びつき、多くの示唆を与えています。

ジョエルとエリーの関係性の変化

娘サラを失ったジョエルは、心に深い傷を負い、他者との感情的なつながりを避けるようになっていました。そのため、初めの頃の彼は、無邪気で天真爛漫なエリーに対しても、冷たく距離を取る態度を見せていました。彼女のなぞなぞにも無関心で、時に軽くあしらうような反応さえしていました。しかし、共に危険な旅をし、多くの試練を乗り越える中で、ジョエルは次第にエリーの純粋さやユーモアに心を動かされていきます。具体的には、エリーのなぞなぞに笑い合ったり、銃の使い方や狩りを教えたりするシーンを通じて、二人の間に信頼と親近感が生まれていきました。そして、最終的には、ジョエルの方からエリーになぞなぞを求めるようになります。

物語冒頭では、ジョエルとエリーの間に信頼の橋が全くかかっておらず、互いに警戒しながらも皮肉や冗談が交わされるシーンが散見されます。たとえば、武器を断られたエリーが「サンドイッチで応戦する」と冗談を言うなど、そんなやりとりの中に暗い世界観とユーモラスな要素が絶妙に交差していました。加えて、旅の合間に訪れる不意の笑顔―元気を失ったエリーがキリンと出会って笑顔を取り戻す瞬間や、それを見たジョエルがささやかな笑みを浮かべるシーン―は、厳しい現実の中で生まれるかすかな温もりをも感じさせます。

終末という極限状態での物語ならではの緊張感の中、ジョエルとエリーの関係性の変化が描かれることに、強い引き込まれを感じました。それは多分、常に命の危険や苛烈な現実が影を落とす中で、二人が見せるほっとする瞬間や、心の触れ合いが、単なるサバイバルではなく「生きること」そのものの意味を問いかけるように映るからなんですね。さらに、物語全体が丁寧に紡がれたキャラクターの内面描写に支えられているため、ジョエルの覚悟やエリーへの想いに深く共感し、最後に彼がエリーを救う決断に至る場面では、観る者も自らの価値観や人間関係について考えざるを得なくなる―このような感情の揺さぶりこそが、本作の魅力であり、非常に面白いと感じたところです。

倫理観と価値判断の境界

本作において、ジョエルとエリーの間に芽生える絆が感動を誘う一方で、ジョエルの倫理観が崩壊していく様子は、並行して描かれる強烈な対比として心に残ります。たとえば、エリーに対しては次第に父親のような温かな側面を見せるようになっていく一方で、行く手に立ちはだかる存在に対しては、エリーの居場所を吐かせるために拷問を加えたり、最終話では『撃たないで』と願うマーリーンさえも容赦なく射抜いてしまうという、冷徹な一面が描かれています。こうした行動は、彼の内面に秘めた過酷な現実や、生きるための覚悟、さらには自己防衛という厳しい選択を象徴しており、物語に深い緊張感と複雑さを与えています。

ジョエルの内面が、エリーに対しては優しさや笑顔で接する一方、彼女を守るために脅威となる存在には冷酷かつ容赦のない行動を取る、その両面性が非常に印象的でした。この二面性は、常識や単純な善悪の枠を超えて、状況が変われば正義と悪が逆転するという現実の厳しさを反映しており、視聴者に『守るべきものがあれば、どのような手段でも自衛せねばならない』という過酷な真実を突きつけます。こうした対比が、キャラクターの深い内面と、その光と影のバランスを克明に描き出し、物語の説得力と没入感を増している点に非常に引き込まれました。

物語が進むにつれて、ジョエルが見せる冷酷な一面と、エリーに対する温かさの交錯は、単なる善悪の対立ではなく、複雑で多層的な人間性を映し出しています。彼がそのような決断を下す背景には、失ったものへの哀悼や、極限状態での生存戦略が隠されているんですよね。この点が、単なるエンターテインメントの枠を越えて、道徳観を問い直させる斬新な視点を提供していて面白いと感じた理由です。

最後に


ゲームファンも初めて物語に触れる人も、必ず心を揺さぶられる体験が待っています。『ラスト・オブ・アス』は、その卓越した脚本とキャラクター描写で、他のドラマにはない特別な世界観を提供します。この感動の旅路を、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください!

先日から配信が始まったシーズン2のレビューも行っていく予定です。お楽しみに!
最後までお読みいただきありがとございました!

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