Netflixリミテッドシリーズ『ガラスドーム』レビュー| 作品情報、あらすじ、登場人物とキャスト紹介、ネタバレ考察あり

【本レビューについて】
Netflix『ガラスドーム』の魅力を、作品情報から登場人物、ストーリー考察、感想までネタバレなし/ネタバレありの両方の視点で徹底解剖!
観る前に知っておきたいポイントからネタバレありの考察まで、このドラマをまだ視聴していない方はもちろんもう既に見終わった方も楽しめる内容となっています。

【ネタバレ注意】
このレビュー記事では一部ネタバレを含んでいます。該当の箇所にはアイコンを表示しており、クリックして内容が表示される構造となっています。本ドラマを未視聴の方はご注意ください。

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目次

『ガラスドーム』作品情報

  • 原題: Glaskupan / The Glass Dome
  • ジャンル: サスペンス/ミステリー
  • 制作国: スウェーデン
  • 公開年: 2025年
  • 全エピソード数: 6話
  • 配信プラットフォーム: Netflix
  • 日本語吹き替え: 無し※ 2025年4月時点の情報です。

『ガラスドーム』評価

IMDbの評価
 6.6点 / 10点

筆者の評価
 8点 / 10点

『ガラスドーム』はこんな方におすすめ!

  • 北欧ノワールの本格的ミステリーを堪能したい方
    北欧特有のダークで冷たい世界観が描かれ、息を呑むような緊張感あふれる展開で物語が進んでいきます。本格ミステリー好きにはたまらない作品です。。
  • 犯罪心理学をテーマにした作品が好きな方
    主人公の背景には犯罪心理学の研究が深く絡んでおり、誘拐事件を題材にした物語の中で、人間の心の闇や動機に焦点が当てられています。

『ガラスドーム』あらすじ

子どもの頃に誘拐されたという過去を抱える犯罪心理学者のレイラ・ネス。そんな彼女に届いた、養母の訃報。深い悲しみとともにスウェーデンの静かな町グラニスへ帰郷することに。しかし、この帰郷が彼女を新たな、そして予想もしなかった悲劇へと巻き込んでいく。

養母の葬儀で旧友ルイーズと再会を果たし、翌日にはアメリカに戻る予定だったレイラ。だが、再会の約束が悲劇の幕開けとなる。ルイーズの自宅で彼女の無残な死体を発見し、その娘アリシアの失踪に気づいたレイラは、事件の謎を追うことに。

捜索が進む中、レイラの心は過去の誘拐事件の記憶と交差していく。この町で起きている事件と、自身の過去との接点を見出したとき、彼女は真実へと迫る覚悟を決める。そして、この小さな町が秘める隠された真実が、次第に明らかになっていく――。

『ガラスドーム』登場人物とキャスト

ネタバレあり登場人物紹介は上部のタブから切り替えできます。

  • レイラ・ネス(レオニー・ヴィンセント):主人公。犯罪心理学者。子供のころに誘拐された過去をもつ。
  • バルター・ネス(ヨハン・ヘデンベリ):レイラの養父。元警察署長
  • トーマス・ネス(ヨハン・レーボリ):バルターの弟。現警察署長
  • ルイーズ(ジーナ・リー・ファーレン・ロナンダー):レイラの旧友
  • サイード(ファルザド・ファルザネ):ルイーズの夫
  • アリシア(ミヌー・アンダチェ):ルイーズとサイードの娘。ルイーズの死後行方不明に。
  • クリスティーナ(セシリア・ニルソン):ルイーズの母
  • ヨルン(イーア・ラングハンマル):警察官
  • ビョルン(エミル・アルメーン):警察官
  • アッデ(フレディ・オースブロム):レイラの幼馴染
  • アイノ(エマ・ブルーメ):アッデの妻
  • イスラ(ビアンカ・リンクセン)アッデとアイノの娘
  • ジム(ヴィクトル・ストール・セーゲルハーゲン):レイラの幼馴染
  • ターゲ(ヴィッレ・ヴィルタネン):ジムの父
  • マルティン(オスカー・トーリンゲ):アリシアの捜索に参加していた男性

『ガラスドーム』エピソードリストとストーリー

エピソード1.

アメリカに住む犯罪心理学者のレイラ・ネスは、研修講師としての講義を終えた直後、養父であるバルダーから養母アン・マリーの訃報を受け取る。急ぎ故郷スウェーデンの町グラナスへ向かったレイラは家に付き、バルダーとの再会を喜ぶ。そしてバルターから翌日の葬儀でのスピーチを頼まれる。

翌朝、お使いに出かけたレイラは店先で幼馴染のアッデとジムに再会する。帰り道では鉱山拡張の整備が進む様子を目にし、家に戻るとバルターとトーマスらが葬儀の準備を進めていた。葬儀にはレイラの旧友ルイーズも参列しており、二人は互いの近況を語り合う。ルイーズは翌日アメリカに発つ予定のレイラに、自宅でゆっくり話をしようと誘い、娘アリシアを母に預けて二人だけで過ごす計画を立てる。

翌朝、バルダーに別れを告げたレイラはルイーズの家を訪れる。しかし、呼び鈴を鳴らしても反応がなく、玄関の扉は鍵が開いていた。家の中に入ったレイラは音楽が流れる中、バスタブの中で血まみれになっているルイーズを発見する。彼女の右腕には深い切り傷があり、すでに息絶えていた。レイラはバスタブから彼女を引き上げ、バルダーに連絡を取る。現場にはバルダーとトーマスら警察が駆けつけ、さらにルイーズの母クリスティーナも到着するが、そこにアリシアの姿はなかった。

ルイーズがアリシアを母に預けると言っていたことを思い出したレイラは、アリシアが行方不明であることに気づく。直ちに捜索が開始され、アリシアの父サイードも捜索に加わる。トーマスが手がかりを見つけ、アリシアを捜索中のサイードとレイラたちのところへ現れる。そしてトーマスはサイードを警察署に連行する。レイラは車で帰る途中、バルダーからアリシアの服と靴が鉱山の入口で発見されたとの報告を受ける。

車を走らせるレイラは、橋の上で車を止める。そして過去自身が誘拐された事件と、アリシアの失踪事件を重ね合わせていた。

エピソード2.  

アリシアの捜索は依然として続き、警察署ではサイードの取り調べが始まった。レイラは悪夢で目を覚ますと、閉めたはずの窓がなぜか開いていた。

レイラは今日もアリシアの捜索を続けるとし、アリシアの服と靴が見つかった場所へ行きたいとバルターに頼む。一方、警察署ではトーマスが、ルイーズの署名がされた離婚届をサイードに突きつけ、彼女が別れを望んでいたのではないかと問い詰める。

レイラは、アリシアの服と靴が畳まれて置かれているのを見て、これは犯人からの犯行声明だと分析する。さらに手掛かりを掴むため、ルイーズの母たちに話を聞くと、昨年屋根の修理を依頼した建築業者の男性とアリシアが仲良くしていたという情報を得る。その男性はスマホでアリシアの動画を撮影していたという。

レイラとバルターはその建築会社の従業員マクシムに話を聞く。マクシムにはミルテルというアリシアと同じ年の娘がいて、娘とアリシアが動画を送り合うのを手伝っていたという。そしてアリシアが撮影された動画には遠くにルイーズが映っており、彼女は夫サイードではない別の男性と一緒にいるようだった。レイラはルイーズに愛人がいたのではと考え、その動画をトーマスに見せる。

トーマスから、ルイーズは薬物を注入され、手首を切られて殺害され、さらに殴られた痕跡もあったと聞かされる。レイラはバルターとカフェで食事をしながら、アリシアの捜索に参加していたマルティンという男性に出会う。その後、ルイーズの追悼式に行き、帰宅したレイラは、自身が誘拐され助かった後の映像を見返し、過去の記憶に向き合う。

その夜、トーマスが現れ、ルイーズの愛人は自分だと明かす。直後、町に避難警報が鳴り響く。そしてルイーズの母クリスティーナに動画が送られてくる。その動画には眠らされたアリシアが映っていた。

エピソード3.  

バルターから、警報の原因は鉱山の廃液が流出し、水が汚染されていることだと知らされる。その後、評議会であるクリスティーナは町民に向けて説明会を開き、採掘の停止を発表する。

レイラはバルターに頼み、自分が誘拐された直後の母の事情聴取の資料を確認したいと伝える。一方、サイードは事件のあった自宅へ行き、立ち入り禁止のテープを外して中に入る。寝室のルイーズの枕元に置かれていた一冊の本に書かれた、愛人からと思われるメッセージを発見する。家を出たサイードは、顔をマスクやフードで隠した集団に襲われ、「閉山して消えろ」と脅される。

負傷したサイードは警察署に向かい、レイラにルイーズの愛人について尋ねるが、レイラは知らないと嘘をつく。その頃警察署では、アイノが夫アッデと連絡が取れずに不安を募らせていた。アイノの話によると1週間前に上機嫌でお金を持ってきたアッデが、説明会の後から消息を絶っているという。

アイノの娘イスラをバルターに預け、レイラとアイノはアッデを捜索するため彼の狩猟小屋へ向かう。そこでアッデを発見し、彼から「依頼があり金のために配管に穴を開けた」との告白を聞く。二人はアッデを連れて警察に向かう。調査の結果、アッデに送られた依頼のメールのサーバーが、アリシアの動画を送信したサーバーと同一であることが判明する。

帰宅後、レイラはお絵かきをしていたイスラと話す。イスラが描いた絵の中には、ガラス張りの檻の絵があった。不審に思ったレイラが誰が描いたのかを尋ねると、イスラは「窓から入ってきた男の人。名前はエッキ」と答えた。

エピソード4.  

レイラはアリシアと自分、そして過去に誘拐された少女たちの共通点を探り始める。レイラは自身でプロファイリングしたエッキの資料をトーマスに渡し、彼の行動が捜査を妨害するメッセージであることを指摘する。そこでトーマスから、イスラがエッキの腕に花柄のタトゥーがあると話していたことを教わる。

その後、レイラはアイノの家に差し入れを持っていくため買い物に出かける。店で幼馴染のジムに絡まれるが、そこに偶然居合わせたマルティンに助けられる。マルティンからその日の夜一緒に飲もうと誘われる。レイラはアイノの家に到着し、アイノと話している間にイスラが窓を開けようとして鉢植えを割る。理由を尋ねると、イスラは「エッキが中に入れるように」と答える。レイラが周囲を見回すが、誰もいなかった。

その後、数台のパトカーがサイレンを鳴らして走る。その音を聞きパトカーの行き先に向かったレイラは、新たにエルマという少女の行方不明事件が発生したことを知る。警察署では、バルターが署に残された留守電の中に、エルマを誘拐した犯人からと思われる伝言を発見する。「ママ、パパ、家に帰りたい」と話す音声とともに、水が流れるような音が背後に聞こえていた。バルターはダムや浄水場を調べるようその場にいた警察官たちに指示を出す。

その夜、レイラはバーでマルティンと会い、彼が過去に妹を失ったことをきっかけに行方不明者を追っていると聞く。一方、警察署では、犯人からの伝言が入った時間にダムのカメラに写った車の持ち主を特定。84歳のバンニャ・フリッキが所有する車で、彼女は半年前に認知症で介護施設に入所しているはずが、2週間前から彼女の家でネットが使われていることが判明する。トーマスたちはバルターとヨルンを署に残し、ムーラ市にある彼女の家に向かう。

その頃、レイラはバーを出て、マルティンが泊まっているログハウスに同行する。そこでマルティンはお酒と温かいスープを振る舞う。警察署では、ヨルンがバンニャ・フリッキの情報をバルターに伝える。彼女の弟の孫ダニエル・フリッキは3年前に11歳の少女を誘拐しようとして精神病院に入院していたが、4週間前に仮退院した後連絡が取れなくなっていると病院から報告があったという。そしてヨルンはダニエル・フリッキの写真をバルターに見せる。その写真に写っていたのはマルティンだった。

ログハウスでは、レイラが体に異変を感じ、マルティンに水を求める。レイラは水を差し出したマルティンの腕に花のように見える模様のアザを見つける。レイラは立ち上がりふらつきながらも帰ろうとするが、倒れて意識を失ってしまう。

エピソード5.  

マルティンはレイラを残して一度ログハウスの外へ出る。その隙を突き、レイラはなんとか立ち上がり脱出を試みる。戻ってきたマルティンはレイラの姿がないことに気付き、慌てて周囲を捜索する。一方、レイラは森を進み続け、ついに車道へ辿り着く。そこで、彼女を探していたバルターに救助される。

その頃、バンニャ・フリッキの家に監禁されていたエルマが警察によって救助され、警察署へ移送される。サイードとクリスティーナが警察署前に駆け付けるが、発見されたのはエルマのみでアリシアの姿は依然として見つかってはいなかった。

バルターに救助され病院に運ばれたレイラは、医師からしばらく入院することを勧められるが、「家に帰りたい」と拒否する。帰宅したレイラのもとにトーマスが訪れ、マルティンことダニエル・フリッキについて聞き取りをする。そこでトーマスは、バンニャ・フリッキの家にレイラの誘拐事件の資料やレイラの所持品があったことを伝える。レイラは自分のベッドの下に置いていた箱が消えていることに気付く。

その後、サイードに呼び出されたレイラは彼の会社へ向かう。そこで逆さ吊りにされた不審な袋を発見する。その袋の中には無惨な状態で殺害されたダニエルが入っていた。彼は心臓を切り裂かれ、血を抜かれていた。

帰宅したレイラは、差出人不明の小包が届いていることをバルターから知らされる。バルターが恐る恐る袋を開けると、中には髪の毛が入っていた。それはレイラが過去に誘拐された際に切り取られた髪の毛だと彼女は確信する。ビョルンはレイラの護衛を任される。

警察署では過去22年間の失踪事件の調査が進められる。引退したはずのバルターが捜査を牽引することが面白くないトーマスは警察署を出てひとりバーに向かう。一方、レイラは母の事情聴取の音声から手掛かりを求め、グラナスコテージを訪れる。そこで、2001年の宿泊記録の中に母ミレーナと自身の名前があること、さらに同じ時期にトーマスの宿泊記録があることを見つける。

バーでは、トーマスがサイードに絡み、ルイーズの愛人が自分だったことを明かす。激怒したサイードはトーマスを殴り、その帰り道でレイラに電話をかけ、ルイーズの愛人がトーマスだったことを知っていたのかと問い詰める。バルターはバーにトーマスを迎えに行く。

レイラは帰宅後、バルターとトーマスの幼少期のアルバムを見返す。家族写真に写るバルターとトーマスの母親は被害者たちと同じ長い黒髪だった。

エピソード6. 

レイラはトーマスの家を訪れ、2001年にグラナスコテージに宿泊していた理由を尋ねる。トーマスは母の葬儀のためだったと答える。トーマスが電話をしている隙にレイラはルイーズのスマホを発見する。それを手にしたレイラは急いでトーマスの家を後にし、自宅へと車を飛ばす。

帰宅したレイラは、バルターがいないことに気付く。サイードに電話をかけ、ルイーズのスマホを見つけたと留守電を残すが、その直後トーマスが家に現れる。鍵をかけていたにもかかわらず、合鍵を持つトーマスは家の中に入ってきた。レイラは息を潜め、隙を見て家から脱出を図る。家から少し離れた小屋の影に隠れ、通報し助けを呼ぼうとするが、背後から注射を打たれ意識を失ってしまう。

目を覚ましたレイラは、ガラス張りの檻の中に閉じ込められており、隣にはアリシアの姿があった。その光景は、子どもの頃に囚われた時と同じだった。ルイーズのスマホを持っていたレイラは、アリシアにパスワードを解除してもらい、バルターに助けを求める電話をかける。しかし電波が悪く、バルターはレイラの言葉を聞き取れない。

その時、檻にエッキと思われる人物が近づいてくる。エッキの正体がトーマスだと信じるレイラは、彼の心を揺さぶろうと挑発する。しかし、覆面を外したエッキの正体はトーマスではなくバルターだった。バルターはルイーズのスマホを回収し、アリシアだけを檻の外へ出す。そしてアリシアの髪を束ねて切り落とす。

その後、バルターが外に出るとトーマスが現れる。トーマスはルイーズのスマホをレイラに持っていかれたと話し、バルターに協力を求める。バルターは「任せろ」と言い、2階へ上がる。レイラの部屋に入り、自分のポケットからルイーズのスマホを取り出して1階に戻り、トーマスに渡す。トーマスは帰り、バルターは再び檻のもとへ戻る。

バルターはアリシアに向かって「この子は役目を果たした」と言い放つ。レイラはバルターの心を揺さぶろうと必死に言葉を投げかける。バルターは、かつてレイラを誘拐した理由が「彼女を自分のものにするため」だったと明かす。

一方、トーマスは途中で引き返し、バルターの家へ戻る。2階に上がりレイラの部屋に入ると、そこでビョルンが殺されているのを発見する。トーマスは銃を構え、応援を呼ぶ。

その頃、バルターはアリシアの首を絞め始める。バルターの目的が自分であることを知ったレイラは、機転を利かせてガラスに自分の頭を何度も打ち付ける。その行動に動揺したバルターはアリシアの首を絞める手を放し、「やめろ」と叫ぶ。その声は地上に響き渡り、小屋を捜索していたトーマスが地下への入口を発見する。

トーマスはバルターを見つけ、銃を向ける。バルターは平然と自身の眉間を指し、「しっかり狙いを定めて、引き金をゆっくり引け」と言い放つが、トーマスは銃を下ろす。その時、ヨルンたち警察の応援が駆け付ける。ヨルンがバルターの家に入ろうとした瞬間、小屋の方から2発の銃声が響く。その後、アリシアを抱えたトーマスとレイラが小屋から出てくる。

後日、バルターとの面会に訪れたレイラ。車いすに乗せられたバルターに、被害者たちの遺体の場所を問い詰める。バルターはレイラが溺れた川の話を始める。警察の捜索により、その川から緑のシートに包まれた数々の遺体が引き上げられるのだった。

『ガラスドーム』ネタバレ考察

注意
本考察には、筆者個人による解釈が含まれており、必ずしも制作者の意図を反映したものではない可能性があります。予めご了承ください。

 ネタバレ考察を読む 

バルターの目的とは

  • なぜ長い黒髪の女の子を狙うのか
    なぜバルターが長い黒髪の女の子を狙うのか。その理由は、彼の母親への愛情への執着が影響していると考えられます。物語の終盤で明らかになったように、バルターとトーマスの母親もまた長い黒髪の女性でした。この事実が、バルターが同じ特徴を持つ女の子を標的にする動機につながっている可能性があります。バルターは幼少期、母親から十分な愛情を注がれなかったと感じており、弟のトーマスばかりが可愛がられていたと考えていたのではないでしょうか。
    その根拠として、最終話でバルターが地下に降りてきたトーマスに向かって「ママの可愛い子」と言い放った言葉が挙げられます。この発言は、バルターが母親の愛情を渇望し、それを得られなかったことへの深い恨みや執着を示しているように思われます。
    その結果、母親の象徴として同じ特徴の長い黒髪の女の子を狙うことで、彼自身の心の中で満たされなかった愛情を埋めようとしていたのではないかと推測できます。この行動は、彼の歪んだ心理と母親への複雑な感情を反映していると言えるでしょう。
  • なぜこのタイミングで再び犯行を再開したのか
    レイラの誘拐事件から22年を経て、バルターが再び誘拐を行った理由については、物語全体を通していくつかの疑問が浮かび上がります。もしレイラがアメリカへ渡ったことが直接のきっかけであれば、そのタイミングですぐに犯行を再開しているはずです。しかし実際には、22年という長い期間が経過してから再び誘拐を始めています。
    ここで考えられる可能性として、バルターはレイラがアメリカに渡った時点で既に犯行を再開させていたのではないか、という点が挙げられます。その根拠として、第一話での描写が注目されます。レイラがアメリカから帰郷した際、バルターが髪の毛で疑似餌を作っている場面がありました。この描写は伏線だったわけですが、その時点でアリシアはまだ誘拐されていなかったことから、「その髪の毛は誰のものだったのか」という疑問が生じます。もしバルターがすでに誘拐を再開していたのであれば、アリシア以前にも複数の失踪事件が発生している可能性があります。
    ただし、これらの失踪事件が多発していた場合、それがニュースで大きく取り上げられていないことは不自然であり、謎が残る点でもあります。また、バルターが22年後に誘拐を再開した直接の動機や心理的背景については、物語全体において明確に提示されていないため、観察者の解釈に委ねられています。このタイミングが物語の進行とどう関連するのかについては、さらなる考察の余地があるでしょう。
  • アッデに配管に穴を開けさせた理由
    アッデが配管に穴を開けた依頼主とアリシア誘拐犯が同一人物であることが判明し、すなわち「エッキ」であるバルターがアッデを使ってこの行為を行わせたことになります。この理由について明確な説明はありませんが、主な目的としては以下の2つが考えられます。
    まず1つ目は、捜査のかく乱です。配管の穴から廃液が流出し、水が汚染されたことで、捜索隊の安全確保が求められ、結果としてアリシアの捜索が一時中止に追い込まれました。この混乱はバルターが意図的に捜査を妨害するための手段だったと考えられます。
    そして2つ目は、鉱山拡張の停止です。バルターは以前、鉱山の拡張により自身が釣りをしている川の水が全て抜かれるという話をしていました。この川の川底には、バルターが殺害した被害者たちの遺体が沈められており、水が抜かれることでそれらの遺体が発見されることを恐れていたと推測されます。そのため、水の汚染による町民の反発を利用し、クリスティーナに鉱山拡張の中止を発表させる結果となったのです。
    これらの目的が複合的に絡み合い、バルターは配管への穴開けを実行させたと考えられます。

マルティンはただの模倣犯?

マルティンことダニエル・フリッキは、「エッキ」を名乗る模倣犯として少女を誘拐し、最終的には本物の「エッキ」であるバルターに殺害されるという結末を迎えました。しかし、彼は本当にただの模倣犯だったのでしょうか。この点については、疑問が残ります。別の視点から考察してみましょう。

もし彼の語った話が本当であれば、彼の行動は単なる模倣ではなく、本物の「エッキ」ことバルターから被害者を救うための行動だった可能性があります。彼はレイラに、幼少期に妹を行方不明にさせてしまった罪悪感から、行方不明者を追う旅をしていると語っています。この話が事実だとすれば、彼は本物の「エッキ」がバルターであることを知っており、それに立ち向かおうとしていたのではないでしょうか。

その根拠として挙げられるのは、マルティンが宿泊していたログハウスに残されていた絵です。その絵には、バルターの家と、被害者たちが囚われていた小屋の窓に人物の影が映る描写が含まれていました。彼は「エッキ」の正体がバルターであることを知り、被害者の特徴に合致する少女エルマを誘拐することで、バルターの魔の手から守ろうとしていたのではないでしょうか。

さらに、彼がレイラを眠らせて連れ去ろうとした行動も、警告と保護の意図があったと考えられます。育ての親が実は昔自分を誘拐した犯人だといきなり告げても、レイラに信じてもらえるとは限りません。ましてや相手は元警察署長であり、自身は精神病院に入院していた過去を持つわけですから、信頼を得るのは困難だったでしょう。

また、3年前に11歳の少女を誘拐しようとしたことで精神病院に入院した彼の行動も、その少女を守るためだった可能性があります。これらの点を考慮すると、彼の行動には表面的な「模倣犯」以上の動機があったと推測することができます。実は良いやつだったのかもと考えると、犯罪心理学を第一線で研究するレイラが疑いもなく彼についていったのにもちょっとは納得できるかも(睡眠薬と麻酔薬を飲まされてることには変わりませんが…)

なぜトーマスがルイーズのスマホを持っていたのか

なぜルイーズを殺害した犯人であるバルターではなく、トーマスが彼女のスマホを持っていたのか。この疑問については、第一話の描写を振り返ると理由が良くわかります。

レイラがルイーズを発見した際、よく見るとバスタブの下に彼女のスマホが落ちているのが確認できます。その後、レイラがバルターたちを呼び寄せ、最初にルイーズの家の中に入ったのはトーマスでした。このタイミングで、トーマスが不倫の発覚を恐れ、彼女のスマホを回収したと考えられます。

『ガラスドーム』まとめと感想

久しぶりに背筋が凍るような心理的恐怖を感じる作品でした。主人公の背景設定や犯罪心理学を学ぶようになった経緯が魅力的で、1話目から物語にぐんぐん引き込まれ、「あ、これ面白いやつだ」と開始30分ほどで感じました。そして最後の心臓をえぐるような衝撃的な展開。見終わった後も余韻や興奮が冷めず、しばらく心を揺さぶられたままでした。

物語の真相が深く語られていない分、考察ができるほど情報量は控えめですが、それが逆に視聴者に解釈の余地を与える構造にもなっています。伏線が非常に緻密に張り巡らされているため、未解明の事実が一瞬の描写として映し出されている可能性も十分にあります。全話見終わった後で最初から見返してみると、新たな発見があること間違いなしです。

既に視聴された皆さんもぜひもう一度見返して考察を深めてみてください。もし新たな視点や気付きがあれば、ぜひ教えていただけると嬉しいです。

この記事では、Netflixリミテッドシリーズ『ガラスドーム』のレビューを、作品情報や登場人物とキャスト紹介、ネタバレストーリー解説と考察を交えてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。まだ視聴されていない方にとって、このレビューをきっかけに作品に興味を持っていただけたなら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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